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香港デモは終わらない。中国政府に屈せず自立する香港市民から日本人が学ぶべきこと=俣野成敏

【「普通選挙」実施の約束はどこへ?】

S理事:はい。イギリスは1982年、香港史上初となる普通選挙を、区議会議員選挙の一部で実施します。

1984年には、中国とイギリスの間で「香港返還後は、中国が“一国二制度”方式で香港を統治する」とした共同声明が発表されます。これによって、「50年は現体制を維持し、香港の自由は守られる」ことが約束されました。

1997年7月1日、世界中が注目する中で、香港の返還は滞りなく行われます。中華人民共和国香港特別行政区基本法第68条には、「立法会の選出方法は、…最終的には全議員が普通選挙によって選出されるという目標に達する」と明記されました。

俣野:いずれは、普通選挙を実施することが基本法に書かれたのは大きいですね。一党独裁の中国が、これを記載したというのは、少し意外な気がします。

S理事:けれども、約束は果たされていません

今のところ、中央(中国)政府がこれをそのまま額面通りに実施するとは思えない状態が続いています。

返還前、香港ではイギリスが導入した選挙をきっかけに、多くの政党が誕生。1994年には、民主派が合併して民主党も誕生していました。

ところが、返還後の2004年、中央政府は一方的に、香港基本法に関する解釈を発表。「2007年と2008年の選挙では、普通選挙は行わない」との決定を下します。香港市民は、中央が基本法をも覆せる大きな力を持っていることを思い知らされます。

3年後の2007年、中央政府は一転して「2017年の行政長官選挙を普通選挙で行ってもよい」と発表。しかしフタを開けてみると、その手順は、中国の息のかかった候補者の中から市民に選ばせるという、完全な“茶番劇”でした。

こうした中央の態度に、市民の怒りが爆発して起きたのが、2014年の雨傘運動でした。民主派と市民が79日間に渡って、2017年の完全普通選挙を要求し、香港(地方)政府と対峙しました。けれども、力尽きて運動は失敗。

俣野:結局、2017年に従来の方法で選出されたのが、現在の林鄭行政長官ということですね。
参考:香港「普通選挙」白紙に 17年長官選、議会が政府案否決 – 日本経済新聞(2015年6月18日配信)

【デモ以外に、自分の意思を表明する方法がない】

S理事香港の人たちがデモをするのは、それ以外に自分の意思を表明する方法がないからです。彼らには、「次の選挙で落としてやる」ということができません。

かつて香港の人たちは、香港を当座の生活の地としか考えていませんでした。自分たちのことを守ってくれない香港など、誰も何とも思っていなかったわけです。

しかし、本国返還へのプロセス等を通じて、香港の民意は急速な成熟を見せました。実のところ、真の香港人を生み出したのは、他ならぬ中国なのです。

Next: 自立した香港市民たちから日本人は何を学ぶべきか?

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