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香港デモは終わらない。中国政府に屈せず自立する香港市民から日本人が学ぶべきこと=俣野成敏

【チャイナ・パワーのメリットとデメリット】

俣野:なぜ香港にだけ、マーケットが存在しているのでしょうか?

S理事:これには、過去のインフレ率が関係しています。日本の過去40年のインフレ率を見てみると、切り上げてようやく1%です。先進国は平均して2%で、リーマン・ショック後はだいたい1%くらいです。対する香港は5%。香港のインフレの一因となっているのが、不動産価格の高騰です。

そもそも、香港は山がちの狭い地形に700万人余りの人口が暮らしています。相対的に住宅が不足しがちで、不動産が投機の対象になりやすいのです。それを、さらに助長しているのが華人資本です。背後に巨大な中国市場があることが、香港にとっての大きな強みである一方、あまりにも巨大ゆえに、本土によって振り回されてもきたのです。

俣野強みが、同時に弱みでもあると。

S理事:すでに1997年の返還前から、返還後を見据えた華人資本の流入によって、当時の香港は不動産バブルの様相を呈していました。そこへ、返還直後に始まったアジア通貨危機が直撃して、香港経済は大きなダメージを受けました。景気の低迷が6年余り続いたことで、中央政府が支援に動きます。それまで、大陸輸出時にかかっていた香港製品の関税撤廃や、大陸住民の香港個人旅行の部分解禁などによって、景気はV字回復を果たしました。

ところが、これによって本土から人が大挙して押し寄せるようになります。その数は、2014年に4,700万人に達します。実に、香港人口の6倍を超える人がやってきたのです。

あまりの数の多さに、交通機関が麻痺してしまったり、マナー違反をする人や、永住権目当てに大陸の妊婦が香港で出産する例が相次いだり、転売目的で多くの運び屋が越境して日用品を買い漁るなど、香港社会を混乱に陥れました。

香港では、2003年から一定額以上の投資を行う人に対して、香港居留権を与える施策(資本投資者入境計画)を実施したところ、巨額の大陸マネーが入り込み、不動産価格の暴騰に拍車をかけました。

実は、この資本投資者入境計画は、大陸住民には許可されていない制度でした。ところが彼らは、一旦他の外国籍を取得した後で、香港の居留資格を得るために投資をしていたのです。この制度は2015年1月15日をもって、ひとまず打ち止めになっています。

これまで中国の成長と圧力が、香港の成長とインフレを加速させたのは事実です。良いとか悪いとかではなく、すべてはつながっているということです。都市計画コンサルティングを手がけるアメリカのデモグラフィアの調査によると、香港は9年連続で「世界でもっとも住宅に手が届かない都市」のナンバー1になっています(ブルームバーグWeb版、2019年1月22日)。

Next: 株が下がるとレストランがガラガラに?香港にとって投資は生活必需品

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