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世界市場は金融緩和頼みだが、天災は忘れられたるころに…まだ誰も暴落を忘れていない=山崎和邦

日経平均は9月に入って2週間で6%上昇、中国は5%、ドイツは4%、米国は3%と出遅れた順番に上昇率が高かった。この後の市場環境について考えてみる。(山崎和邦)

※本記事は有料メルマガ『山崎和邦 週報『投機の流儀』』2019年9月22日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

被追尾国アメリカと追尾国中国の宿命…トランプ劇場の終焉はいつ

9月前半は戻りを試す展開だった

日経平均は先々週末(9月に入って2週間)に6%上昇、中国は5%上昇、ドイツは4%上昇、米国は3%上昇という半月であった。出遅れた順番に上昇率が高かった

市場の不安心理が後退しつつあったことは日経平均ボラティリティインデックス(VI)を見れば一目瞭然である。日経新聞9月15日号5ページの左側にグラフが出ている。VIは8月末から急上昇し(不安心理が急増した)。「20」を超えれば強い不安心理とされているが、その状態が8月いっぱい続き9月に入って不安心理が急速に下がり、13~16まで不安心理が低下した。

一つは中央銀行の金融緩和頼みだ。FRBの追加利下げ、欧州ECBの利下げに転向、最も遅れている日銀も事実上金融緩和に終焉を告げた結果になっている。ECBが利下げに舵を切った。日銀は利下げの余地がない。マイナス金利を深掘りするという。9月前半は、このように各国中央銀行の利下げ頼みの相場であった。

一方、地政学的な不安要因は米政権が協議事項の範囲を絞った暫定合意を検討する姿勢を示したこと、10月に開催する閣僚級の貿易協議に向って対立が和らぐという観測が加わった。戻りを試す展開が続き、節目となる2万2,000円を13日、満月の日にタッチした。

9月15日号の当メルマガで述べたように、日本市場はその中身が変化し、著名銘柄の中の出遅れ株、特にPBRの低いものが変われPERの高い成長本位の小型株は一服したという変化が起こった市場であった。

9月前半の市況の特色、銀行株など割安株に買いが入った

アベノミス始動以来の数年間、最も悪環境に置かれた業界は銀行界だった。扱う商品が歴史的安値だったからだ。メインビジネスの中心(金利)が歴史的安値だったからだ、したがって最も早く大底を付ける株は銀行株であろうと本メルマガで何度も何度も述べ続けたのは、9月前半で最も上昇したのは銀行株だった。

また、地銀は軒並み赤字であったしこれからも苦境が続くだろうから地銀の代表株だったスルガ銀行株も「372円は永久に来ない大底だったのではないか」とも述べたりした。一瞬それを割ったが底から100円上で大きく居所を変えてしまった。以上は「常識の範囲」で考えられることであって、別に相場を当てたということではない。

金融緩和頼みの世界の金融市場

FRBが7月末にリーマンショック以来10年ぶりの利下げを決め、9月に追加利下げを決め、またECBも今月は緩和に舵を切る見通しである。

予想されていたよりも早いタイミングで世界の中央銀行が金融緩和に舵を切った。世界の金融市場は中央銀行頼み、金融緩和頼みで動いている。

トランプが率いるアメリカは、貿易で何らかの妥協が成立しても、安全保障とか先端技術の覇権争いになれば、これは20~30年は続く問題となる。これは被追尾国と追尾国との関係である。今やアメリカにとっては、明確な追尾国は中国しかない。

別の問題だがイギリスも安心できない。2回目の国民投票になるのか、合意期限の再延期なのか、合意なき離脱なのか、複数の選択肢があり最終的には「離脱撤回」という選択肢まである。

07年8月のサブプライム破綻から08年9月のリーマンショック発生まで、120円から75円までの極端な円高を招いたのは、欧米が大規模な量的緩和を拡大したのに対して日本が緩和が立ち遅れたからである。

そこで「安全な通貨の置き場所」として選ばれたのが日本円であり、日本円に世界のカネが殺到し円高となった。だが、その原因をつくったのは金融緩和に日本が立ち遅れたからである。今度も日銀が最も出口戦略に遠い。したがって同じ理由で円高を招く可能性は大いにある

Next: トランプのツイートによる株価操作は、どこまで通用するのか?

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