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景気後退不安を前に、世界債務はリーマン・ショックへ導いた「ジャンク債の宴」の2倍=山崎和邦

貿易戦争の報復合戦は米中の国内へも影響が出始めた

米中貿易戦争は昨年7月に始まった。今年の9月1日に発動された4回目の追加関税によって米国の消費者や企業への負担が増して、「ブーメラン現象」は国内に大きな影響を及ぼし始めた。米国内では衣類やハイテク商品などの価格が段階的に引き上げられているという。また、建設資材や新築住宅などの価格にも影響を及ぼしている。

トランプ大統領の重要な支持層である農家に対する悪影響が出始めている。そうすると農家がトランプに愛想をつかす時が来る。トランプの主な支持層は農家と「ラストベルト」(錆びついた工業地帯)も鉱山労働者と工業労働者である。3年前の選挙中に彼らに為した公約を今トランプは実行しつつあるのだが、それがブーメラン現象となって我が身に降りかかるということは、3年前の選挙民は考えなかったのだろうか。

膨大な債務の積み重なりが示唆するもの

世界の債務は2京7,000兆円(2,700兆円の10倍)、または2京円(2,000兆円の10倍)と言われているが、これはリーマン・ショック前の「ジャンク債の宴」の頃の債務の累計よりも2倍ぐらいあるというのが通説(★註)になっている。

(★註)「通説」というのは2.7京兆円と書いてある本もあるし、2京兆円と書いてある記事もある。明確には判らない。およそ「通説」とか「通念」というものは論証も実証もされずに居心地よく、なんとなく市場に居座るものである。これは概ねは当たっている場合も多い。

筆者は数年前に投資不適格銘柄のジャンク債のウクライナ国債を戦乱の最中に買って、約1,000万円で約411万円を約4ヶ月で利益を得たことがある(この件は既報で述べたし読者の一人も筆者と同じことをやって、テレビ番組で証明するために山手線の駅頭でお会いする約束をして売買報告書を借りたことがあった。古い話だがこの場を借りてお礼を申し上げたい)。

あるいはシャープの転換社債、あるいは武富士の転換社債、これらのジャンク債でも利益を上げた。失敗したのはギリシャ国債(もちろん投資不適格債)であった。成功失敗を累計すれば成功して利益を上げた方が株の利益よりも大きかった時代がある。そこでジャンク債、あるいはレバレッジ・ローンについては大いに関心をもって見ている

最近ではそのレバレッジ・ローンが債務の象徴として懸念されてきたが低格付け企業向け融資として、そこから資金を引き揚げる投資家が増えているそうだ。「そうだ」というのは日本経済新聞、9月22日号の記事によるものだからである。米国では7月以降少なくとも数社のレバレッジ・ローンの新規案件が通らなかったという事実がある。景気減速で企業が負債の重みに耐えられなくなれば倒産が大量発生する恐れがある。

これをレバレッジ・ローンは警戒しているのだ(本当は投資不適格債のジャンク債の妙味はこういうときにあるのだが、もちろん失敗すれば株の損切りよりも大きい。成功すれば株よりも効率はいい。筆者ならばの話しだがここから先は手を出さない。米国でレバレッジ・ローンが7月以降数社は案件が通らないことが続いたのはそれだけ危機がせまっていることの兆しでもある)。

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