大法院は三百代言に陥る
韓国が、このように飽きもせずに日本へ報復している理由はなにか。当然、こういう疑問に突き当たる。
日韓併合(1910~45年)の36年間が怨嗟の的なのだ。民族の誇りを奪われたから許さない、としている。
だが、日韓基本条約で過去の清算を終わらせたはずである。昨年10月末の大法院の判決では、戦時中の徴用工賠償問題が日韓基本条約で済んでいないと決めつけている。
判決文では、無償3億ドル(このほか、有償2億ドル、民間借款3億ドル)は「経済協力金」名目であり、「賠償金」となっていない。だから、個人請求権は生きているという屁理屈だ。
まさに、韓国の最高裁判所である大法院が放った歴史的な「三百代言」である。中身の実質を問わず、形式論で押してきた点に、韓国の日本への「報復」意識が芬芬(ふんぷん)とした判決である。
賠償とせずに経済協力金にした背景は、日韓併合が違法(賠償金)でなく、合法的(経済協力金)であったという日本側の主張が通った結果である。韓国は、何が何でも違法と認めさせて、さらなる賠償金を取ろうとしている。
当時の5億ドルは、韓国国家予算の2年分
それにしても、当時の5億ドル(無償・有償)がどれだけの価値を持っていたか。韓国大法院は理解しているだろうか。韓国国家予算の2年分に相当した。
現在、日本政府が国際条約に反する大法院判決は、絶対に受け入れられないとして拒否しているのは当然である。大法院が、賠償金名目でなく経済協力金であるから、別途請求権が存在するという判決は、韓国の度外れた日本への「報復」とみるべきだ。
この判決の裏には、文大統領が事前にこのような趣旨の発言をして誘導した疑いが濃厚である。その意味で、文氏にも一半の責任があるのだ。
文氏はその後、日本との接触を極力避けて逃げ回った。李首相は、日本との下交渉を薦めてもすべて拒否した。この事実が、「大統領介入判決」を覗わせるものである。
すべては、文在寅大統領の判断ミスが招いた日韓破綻劇である。文氏は弁護士出身であるが、国際法には暗い社会派弁護士だ。この辺の思い上がりが、もたらした「誤診」と言える。