株価を大きく動かすのはびっくりする度合いの大きさ
一方で、増益基調や続伸とは、前期も増益で今期も増益が続くことですから、株式市場の見方は大きくは変わりません。元々増益企業=よい企業=買い安心感のある株という見方。それは変わりません。今後も増益企業という見方が継続するだけですからね。
増益を繰り返していた企業はすでに高い評価を得ている場合が多いのです。増益企業が今年も増益の見通し。古いグッドニュースの後に、新しいグッドニュースが来て、株は上がります。ただし、劇的な感動はありません。
飴をなめたあとに、おいしいフルーツを食べてもその本当の甘さを味わうことができないのと似ています。
市場の見方がネガティブからポジティブに変化をする銘柄は上がります。
わかりやすくいえば、近所付き合いで、挨拶もできない愛想の悪いおばさんが実は大変な面倒見のよい善人だということがわかったらどうでしょうか。見方がガラリと変わるほうが「びっくり度」が大きいでしょう?
株価を大きく動かすのは、意外感、つまり、びっくりする度合いです。
これをサプライズといい、株式市場では大変よく使う言葉です。
市場では、株価が上がるような「びっくり」をポジティブサプライズといいます。
逆に株価が下がるような「びっくり」をネガティブサプライズといいます。
減益企業が増益に転じるのはポジティブサプライズになりえます。
「減益の冴えない企業だと思っていたのに増益で発表された」ということが意外であればあるほど、株価は上がります。
ファンダメンタルズ的な売買タイミングとは決算の発表です。
「前期は減益に終わった模様」であると市場が既に知っているとすれば、「前期の減益を市場が織り込んでいる」という表現を使います。そして、減益決算が織り込まれている場合、前期の決算を企業が正式に発表をしたとしても、株価は下がりません。それよりは、むしろ、織り込まれていない将来の業績動向に市場は注目しているのです。
将来といっても、遠い将来は一度に織り込むことができません。
そこで、現在に一番近い未来である今期予想の業績見通しが株価にまず反映されることになるのです。