どちらでもいいが、しいていえば減益の企業を買うのが正解!
冒頭の問題に戻ります。
毎年業績を伸ばしている「増益基調」型企業Aと「前期減益」型の企業Bとどちらの企業の株を買ったらよいでしょうか。
減益企業を買っても、利益が減るわけですから、面白みがありません。しかし、株式投資では、減益企業を好んで買う人たちがいます。そして、そういう人たちに限って投資で好成績を収めているものです。利益が減少すれば、株価は割高になり、割高な株は下がるはずです。
なぜ減益企業などウォッチする必要などあるのでしょうか。
企業努力=増益=よい企業=よい株価という考え方は根強いものがあります。ネット証券のスクリーニングの条件にも、「増益かどうか」という項目が用意されています。
数多く増益企業があるというのに、どうしてわざわざ減益企業など投資対象にしなければならないのでしょうか。
意外に思われるかもしれませんが、減益企業でも増益企業でもどちらでもよいのです!
それは終わったこと、過去のことだからです。あえていえば、この場合は、減益から増益へと転換を果たした前期の減益企業、すなわち、企業Bの方を買うべきなのです。
単に減益企業といっているのではありません。「前期」の減益企業といっている点に注目してください。前期とは過去のことです。過去はいくら悪くても、過去です。過ぎてしまったことです。
しかし、株主は将来の配当や利益成長に期待しているのです。過去減益だったかどうかは問題ではないのです。
過去、いくら減益が続いたとしても、今年から増益に転じるのであれば、それはグッドニュースです。
株価を動かすのは変化です。
変化とは過去と現在との比較、あるいは、現在と未来との比較です。変化とは、その企業や銘柄の業績の見方の変化を意味します。過去と未来の対比がドラスチックであればあるほど、サプライズとなります。
株式市場が、ある企業を、これまでは減益企業だと思っていたのが、実は増益企業だということが判明した。それは大きな見方(=パーセプション)の変化です。よい方向への変化です。
減益を続けていた企業は、投資家から見放されているため、株価が安値で放置されている場合があるのです。株価は十分に安いので、ちょっとしたよいニュースで上がるというわけです。