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増益よりも減益企業の株を買ったほうが勝てる?業績が株価に織り込まれる背景とは=山本潤

決算発表後の1-2ヶ月間は会社計画がコンセンサスとなる理由

さて、誤認や誤解を排除した優れた伝達文書には、5W1Hの要素が含まれています。

ファンダメンタルズ分析の5W1Hとは、
いつ、WHEN(どの決算期か)
だれが、WHO(どの企業が)
どこで、WHERE(どこの事業で)
なにを、WHAT(利益傾向が増益か減益か)
なぜ、WHY(事業のおかれている環境のために)
どのように、HOW(大幅か小幅な、前期比何%か)
です。

ファンダメンタルズ分析では、WHENの要素、「いつ」という要素が不可欠です。

時には序列があります。明日の株価は明日の業績に拠っていると考えるのがファンダ分析ですから、明日の業績とは「今期」(12ヶ月決算)もしくは「今半期」(半期6ヶ月決算)もしくは「今四半期」(3ヶ月決算)の予想数字ということになります。

減益企業が増益企業に変化するということは、前期は減益という結果だったが、今期は増益になりそうだという予想がもてることです。しかし、予想は当たらないかもしれない。しかし、あたるかあたらないかはやってみないとわかりません。とりあえず、企業が出した予想は信じてみようと思う投資家が存在することが肝心です。

業績の見方は増益予想か減益予想かの2つしかありませんから、自らのことを一番よく知っている企業自身が自らの判断で業績を予想する以上、一旦は会社計画の見通しに従うのが筋なのです。

ベテランのアナリストでさえ、会社計画と大きく隔たった自己の予想を立てることはまずありません。会社計画を参考にして上下10%以内で計画より上に予想したり、下に予想したりする場合がほとんどです。

決算発表後の1-2ヶ月間は、多くのアナリストは会社の計画数値をそのまま採用しています。ですから、会社計画がすなわち市場のコンセンサスであるという状態が決算発表後しばらく続くのです。

→決算発表後1-2ヶ月は、企業発表の数字がとりあえずコンセンサスを醸成する。

<用語>

決算発表:四半期を含め年に4回発表される企業業績のこと。決算短信として発表される。
決算短信:企業業績をまとめた決算書のこと。
前期:前の決算期。過去の決算であり、株価にはそれほど重要ではない。
今期:今走っている決算期。今期の予想利益が株価にとって重要。
来期:今期の翌年の決算期。
ガイダンス:企業から発表される今期の予想売上げや利益。
会社計画:企業が想定する予想売上げや利益のこと。
会社予想:会社計画と同義。
コンセンサス:会社予想をベースにして市場が想定する企業の利益。
織り込み済み:市場が既に知っていること、株価を動かす材料にならないこと。
減益:前の期と比べて利益が減ること。
増益:前の期と比べて利益が増えること。
続伸:業績面のことで用いれば、増益が続くこと。株価面で用いるのであれば、2日以上連続して株価が上がること。
サプライズ:市場に織り込まれていない材料が新しく発表されることによって株価が反応すること。
ポジティブサプライズ:株価が上がるサプライズ。
(用例)今期の会社計画は増益予想でコンセンサスを大きく上回りポジティブサプライズだ
ネガティブサプライズ:株価が下がるサプライズ。
好感:企業を好く評価すること。
(用例)円安を好感して株式市場は3日続伸
引け後:
マーケットが開いている時間の後。東京証券取引所やジャスダックの場合、15時にマーケットがクローズしますから、その後を「引け後」といいます。決算発表のほとんどが引け後に発表されます。しかし、例外的にざら場中に発表されることもあります。
ざら場:マーケットが開いている時間。
証券アナリスト:企業業績を予想する専門職。
材料:株価を動かす事実や見通し

image by:TippaPatt / Shutterstock.com

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億の近道』(2019年11月28日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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