すべてを飲み込む「スーパーアプリ構想」
そして新たに打ち出したのが「スーパーアプリ構想」です。
最後の出口は決済アプリのPayPayですが、ホテルの予約アプリやタクシー配車アプリなどをスマホに取り込んでサービスを提供するというものです。
すでにインドやインドネシアなどのアジアの国々では盛んになっているのですが、ヤフーもこれに取り込もとしていた矢先でした。
LINEはすでにこうしたアプリをたくさん取り込んでいます。たとえばレストランの予約キャンセルアプリというのがあります。お目当てのレストランの予約キャンセルが出たらすぐに教えてくれるアプリで若い女性に人気です。
今後はPayPayとLINEがそうしたアプリを共有してユーザーに提供できるように、「暮らしに必要なものをすべて提供する」というスーパーアプリ構想の実現と、ネット(スマホ)を通してあらゆるサービスを提供するプラットフォーマーに一歩近づくことができるようになったといえます。
そうした意味では、この統合が双方にWIN-WIN(ウィンウィン)の効果をもたらすものといっていいでしょう。
「ヤフー・LINE連合」vs.「楽天・Suica連合」へ
今後はヤフー+LINE連合がしっかりとトップの座を固めて、ライバルとなる楽天+Suica連合を叩くという構図になります。
楽天ペイメントとJR東日本が提携し、来年の6月から楽天ペイのアプリで交通系電子マネーのSuicaの発行とチャージが可能になります。Eコマースの流通総額日本一(3兆4,000億円)の楽天と発行枚数が7,600万枚を超えるSuicaの連合軍は強力です。
この楽天+Suica連合が、ヤフー+LINE連合をどう迎え撃つのか。いまから楽しみです。
まさに天下分け目の関ケ原の戦いです。
日本政府は「マイナンバー利用」で中国を参考にしている?
中国では、アリババ(アリペイ)とテンセント(ウィーチャット)の2社が性格を若干異にしながらうまく共存し、刺激し合っています。
それぞれの役割が微妙に違っていて、カニバル(共食い)がないのです。
中国の政府はテンセントに肩入れしていて、ウィーチャットに保険証や免許証を入れられるようにしています。そのためウィーチャットの利用が最近増えてきています。
実はこれに飛びついたのが日本政府です。どういうことかというと、日本政府が来年9月から実行しようと予定しているマイナンバカードによるポイント還元制度は、この中国のテンセントのケースを参考にしているのです。