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不動産は株価から2年遅れて下落する…日本の土地がピークアウトするのは2022年頃=吉田繁治

これからの1人当たり所得という要素

わが国の正規雇用の平均年収は420万円(男性521万円、女性276万円)です。2012年からは、年率平均でほぼ1%上がっています。

所得の増加率が約1%で今後も同じなら、地価は上記のように各都市の生産年齢人口の減少に正比例して下がるでしょう。

人口80万人以上の大都市部平均で-2.1%、10万~80万人未満の中都市部平均で-3.9%、10万未満の小都市平均で-5.7%と大きくなります。

【所得の長期増加期待が、3%や4%に上がると…】

2020年以降の1人当たり所得が長期で3%/年で上がるという期待になると、2%部分は地価の下落を2%少なくする要素になります。

生産年齢人口の傾向では大都市区分で、地価は年-2.1%の傾向であっても、所得増加の効果から、ほぼ0%で推移するということです。

4%の期待上昇に変わることができれば+3%で、1%の地価上昇期待です。(注)金融危機の時は、2年間くらい下がりますがその後は、リーンマン危機のあとのようにリバウンドします。

これは単年度の賃金上昇ではなく、長期的な期待での上昇率です。「これからさき、将来賃金は平均3%で上がる」という集合知での期待です。平均の3%は個人別には、5%~1%の分布になります。

およそ2025年から、5GとAIの産業過程への効果的な利用が進めば、社員数は減る中で生産性は上がり、1人あたり平均賃金で3%から4%の上昇になる可能性はあります。(注)4%以上はない。

1人あたり賃金が4%上がると、日本の地価では大都市部+1%、中都市部-0.5%、小都市部-2.5%くらいになっていくでしょう。ここが、わが国経済が目指す、最大の可能性の要所です。地価は、経済に基礎になるものです。

東京と大阪の地価の、生産年齢人口仮説での検証

以上の、地価の決定要因としての「生産年齢人口仮説」が正しいかどうか、現在の東京都大阪府で調べます(基準地価:2019年)。
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東京都の平均地価 343万円/坪  生産年齢人口894万人
大阪府の平均地価 118万円/坪  生産年齢人口522万人
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    地価比  2.9倍   生産年齢人口比 1.7倍

1.7の2乗は2.89です。生産年齢人口の2乗では、2.89倍になります。東京と大阪の地価の比は、上記のように2.9倍です。見事に比例しています。

この意味は、東京都の生産年齢人口が、大阪府の522万人(58%)に減ったときは、大阪府の現在の地価(平均118万円と1/3)に向かって、下がるということでもあります。

(注)ただし所得が1%より多く伸びた分と、金利上昇の修正が入ります。所得が3%(現状+2%)伸びても、ローン金利が3%(現状+2%)になると所得効果は金利上昇効果で相殺されます。

東京都の広さは2,188平方キロ、大阪府は1,899平方キロと、他の府県より狭く、人口の密度は類似して高い。これが、東京と大阪の地価(本稿では基準地価)が、生産年齢人口の2乗に完全に比例した理由です。

県単位では、東京・大阪より人口密度が低いところが多く、これらの県では県の平均地価と生産年齢人口を横比較した関係には、東京と大阪のような近い面積のような比例関係にはなりません。

(注)面積を全国一定にして、その地区の生産年齢人口の2乗で見れば、東京と大阪の地価に比例します。

ただし、その地域の地価の将来は、生産年齢の減少率の約3倍になることは変わりません。

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