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不動産は株価から2年遅れて下落する…日本の土地がピークアウトするのは2022年頃=吉田繁治

東京の金融的な収益物件の価格上昇は大きい

住宅需要には、居住ではなく、金融収益を求める賃貸物件の需要も含まれています。2008年の賃貸物件は、全国で2,200万戸です。古いアパートには、空き家が多くなっていて、すでに410万戸(18.6%)が空き家と言われていました。1年間の貸家の新規供給は、約30万戸です。

総新築100万戸付近のうち、30%が貸家用と見ていいでしょう。厳密な区分はできません。買ったものを貸す個人需要があるからです。

住宅のストックでは、72.0%が持ち家、27.3%が貸家です。貸家の平均面積は、42.5平米(2010年代は51平米)、持ち家は122.6平米(同124平米)と約3倍の広さです。貸家には単身の住まいが多いからです。

子息への相続税への対策として、貸家を作る(または買う)人も多い。その貸家に親族以外の人が住んでいる場合の相続税の評価額は「家屋の固定資産税の評価額×30%」と、とても低いからです(大きな節税になります)。

(注)空室が一時的(1か月等)なときは、賃貸に含めてよい。

理由は、借りた人の居住権があるからとされていますが、政府のホンネは「貸家建設の促進」です。日本では1980年代まで、「住宅は足りず、狭い」とされてきたからです。これは事実でしたが、生産年齢人口が減った1995年のあと25年で「住宅数は余って、空き家が800万軒台(16%)」になっていますが、税制を作る国政の意識は追いついていません

なお土地部分の固定資産税評価額は、基準地価とほぼおなじ公示地価の約70%です。建物部分は、建築費の約50~70%です(3年ごとに自治体が改定)。(注)細かい規定があるので詳細は税理士に相談。

(注)2018年度の、新築住宅着工戸数は95万戸(前年比+0.7%)です。

タワーマンションが増えた原因は、相続税評価が低い税制にある

近年、東京や大阪では、高層のタワーマンションが多い。少し変に思うのが「高層の階」は、同じ広さでも1.5倍や2倍も高いことでしょう。単に、「見晴らしがいい」ことだけではない。実は、相続税の固定資産税の評価にカラクリがあります。

「タワーマンションの建物部分の相続税評価額は、固定資産税評価額をそのまま使います。タワーマンションの販売価格は下層階と上層階で大きな差がありますが、固定資産税評価額の取扱いは下層階と上層階であまり違いはありません」…不思議な規定ですね。高層部分を高く売る建築業と、高く買う富裕者に得をさせる税制です。

1.5億円で買った高層階と、7,000万円の下の階は、広さが同じなら固定資産税の評価額はほぼ同じになる…それを貸していれば、相続税評価はその30%です。

(注)正確には1階上がるごとに、評価額0.25%上がりますが、40階上でも10%高いだけなので、ほぼ同じと見ていい。1階の評価が3000万円なら41階は3300万円程度です。

つまり、高層階のタワーマンションの新築や中古を多く買って、貸家にしておくと、数十億円の資産なら、相続税がごく少なくて済みます。

(注)明らかに節税が目的と認定されると、税務署から否認されるケースもあるという。

Next: 異次元緩和とゼロ金利は、東京の収益マンション価格に影響を与えた

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