消費増税の影響を受け、経産省が11月28日に発表した10月の商業動態統計はいずれも大幅な低下。続く29日に発表した10月の鉱工業指数も大幅に低下しています。(『元証券マンが「あれっ」と思ったこと』)
世界経済と世界の安全保障が悪化する中での消費増税の影響
10月の商業動態統計・貿易統計は、ともに大幅な低下
12月9日、現代ビジネスで掲載された、経済学者である高橋洋一さんの記事。
※参考:消費増税の「悲惨すぎる結果」が判明…日本の景気、打つ手はあるのか‐現代ビジネス(2019年12月9日公開
以下はその概要。(その1)
<1.消費増税による日本経済の悪化の数値>
経産省が11月28日に発表した10月の商業動態統計:卸売業は前月比▲8.2%、前年同月比▲10.0%、小売業では前月比▲7.1%、前年同月比▲14.4%といずれも大幅な低下。
財務省が11月28日に発表した10月分貿易統計:輸出は前年同月比▲9.2%、輸入は▲14.8%とともに大きく低下。
⇒ 輸入の減少は、国内需要の弱さを示す。GDPは国内所得を意味し、それが下がると、国内消費と海外からの輸入が下がる。つまり、輸入の落ち込みは景気悪化の第一段階
経産省が11月29日に発表した10月の鉱工業指数:生産指数は、前月比▲4.2%、前年同月比▲7.4%と大幅な低下。10月の出荷指数は、前月比▲4.3%、前年同月比▲7.1%とこれも大幅低下。
厚労省が11月29日に発表した10月の一般職業紹介状況:10月の有効求人倍率は1.57倍(前月と同じ水準にとどまった)。
総務省が12月6日に発表した10月の家計調査:2人以上世帯の消費支出は1世帯あたり27万9671円で、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比5.1減少。
⇒ 家計調査は、国内需要の大半を占める消費の悪化を示している。消費税率が8%に上がった2014年4月(上げ幅3%)よりも落ち込み幅大。駆け込み需要もあまりなかったのに、今回は落ち込み大。10月の家計調査の数字は、ここ20年を振り返っても最低。
内閣府が12月6日発表した10月の景気動向指数:景気の現状を示す一致指数が前月比5.6ポイント下落の94.8。
⇒ 景気のカギを握る消費も、景気そのものの状況を示す景気動向指数も、前回の2014年10月の消費増税時に比較して、今回の落ち込み大。
<2.景気の状況>
景気の状況は、こうした生産活動を中心に判断できる。ちなみに、景気動向指数の一致指数は、(1)鉱工業生産指数、(2)鉱工業用生産財出荷指数、(3)耐久消費財出荷指数、(4)所定外労働時間指数、(5)投資財出荷指数(除く輸送機械)、(6)商業販売額(小売業)、(7)商業販売額(卸売業)、(8)全産業営業利益、(9)有効求人倍率(除く学卒)から算出されるが、10月の速報では、このうちデータのない(4)所定外労働時間指数と(8)営業利益以外の7指標すべてがマイナス。
⇒ 景気を表す統計数字すべてでマイナスという、悲惨な結果に
実質消費指数:前回増税時(2014年4月)105.9 ⇒ 100.5(△5.4)
今回100.5 ⇒ 95.1(△5.4)
景気動向指数:前回増税前1年間は上昇基調で平均100.3、消費増税時は100.8と腰折れ
今回増税1年前は下降基調で平均100.3、消費増税時は94.8と景気の下振れをダメ押し。
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