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歴史は繰り返さないが韻を踏む…ドルが基軸通貨から滑り落ちるタイミングと理由とは=藤井まり子

遅かれ早かれ「5%前後のマーケットの調整」は近い

さて、「アメリカ株式市場の上昇を今後とも維持継続できるか否かは、長期金利の急騰を招かないで、今後ともアメリカの長期金利を低く持続できるか否か」にかかっています。

シーゲル博士は、この「低い長期金利は今後少なくとも4~5年(?)は継続する」と予想しています。

博士は、「今現在の世界経済は、長期金利(=利潤率)が趨勢的に低い世界にあるだろう。長期金利が低いのは、中央銀行(の金融政策)の緩和的な政策の結果ではなく、人口動態と経済力という実体経済(の弱さ)に裏付けられている。

低成長、高齢化経済、長寿化、高齢の投資家のリスク回避的な投資行動によって、金利の低い(=利潤率の低い)世界が出現しているのだ」としています。

ちなみに、長期金利はその時代の利潤率を表します。

低い長期金利は実体経済の利潤率の低さに裏付けられているのです。すなわち、時代は、「FAANGなどの例外を除けば、普通の企業や事業主ならば、どんなに頑張ってもたいして稼げない」時代になっているのです。

利潤率低下の原因は、IT化、高齢化、高齢化に伴う貯蓄過剰、グローバル化、中間層の衰退、前近代主義的な(資本主義が興隆する以前の)シェアエコノミーの普及などなど、数え上げたらきりがありません。

パウエルFRBとて、ここまで株価を釣り上げても資産家の富裕層が潤うだけで実体経済全体そのものが弱弱しいままならば、政策金利を予防的に引き下げることはできても、引き上げられないのです。

シーゲル博士も、この「低い長期金利」はしばらく継続すると見込んでいます。

博士によると、「当面は、10年債利回りが2.25-2.5%はありうるだろうが、4、4.5、5%にまで上昇することは予想できない」とのこと。

ちなみに、2018年10月は、アメリカの長期金利が3.25%に達したとき、グローバル規模で株式市場が崩落しました。アメリカ株式市場は、長期金利が急騰すると崩落しますが、長期金利が低いままだと上昇するのです。

アメリカで低い長期金利が続く限りは、アメリカ株式市場のブームは弾けにくいでしょう。

もちろん、プチ不況が始まりそうになれば、さらなる金利低下が巻き起こりそうです。そうなれば、パウエルFRBが再び「予防的な利下げ」を行って、株式ブームが弾けることをなんとか回避することでしょう。

Next: 数年後、アメリカではインフレが起こり、ドルは基軸通貨から転落

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