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メルカリ、Origami買収でスマホ決済は3極化へ。PayPay・LINE Pay連合に勝てるのか?=岩田昭男

QRコード決済サービスの草分けオリガミ

そして、年明け早々、明らかになったのが、メルカリのオリガミ買収でした。

オリガミは2012年に創業したQRコード決済の草分け的存在で、2015年に「オリガミペイ」をスタートさせました。ファストフードのケンタッキー・フライド・チキンと組んで「半額キャンペーン」なども行ってきましたが、昨年あたりから、地方に重点をおく戦略に大転換しました。

具体的には、信金中央金庫と業務提携し、地銀や信用金庫などと協力して、それぞれの地域に根差した中小店舗でのQRコード決済の普及をサポートしてきました。青森ではJR東日本と提携して街づくりにも深くかかわっています。そんなこともあって、私にとっては「将来性を感じる」QRコード決済のひとつでした。

例えば、富山の北日本放送のテレビ出演をしたとき、地銀や信金をサポートするオリガミの話になりました。ほかの地方に行ってもオリガミの話がよく出ました。

また、オリガミはトヨタファイナンスと組んで、TOYOTA TS CUBIC Origami Payの発行も始めていましたから、地方にうまく食い込んでおり、ここが残ればおもしろいと思っていました。

メルカリの狙いは地方の小規模業者か

一方のメルカリは、「メルペイ」でQRコード決済サービスに参入したのは2019年2月と後発で、決済専業のオリガミとは違ってフリマアプリで急成長したネット企業です。

老若男女が利用するメルカリは、ひとりひとりの個人があらゆるモノに値段をつけて売り買いする新しい文化をつくったといえるかもしれません。

この「メルカリによるオリガミの買収」は「ヤフーとLINEの統合」の時とよく似ています。

PayPayとLINEPayの統合は、決済専業者(PayPay)とアプリ業者(LINE)の統合でした。一方のオリガミとメルペイも、同じように決済専業者とアプリ業者との組み合わせです。会員特性としても決済専業者は男性中心、アプリ業者は若い女性中心という点でもよく似ています。

このことを頭に入れて、2つの統合話を考えてみましょう。

PayPayとLINE Payが一緒になると聞いて、最初はLINEPayがPayPayに食われてしまい、メッセージアプリのLINEのユーザーも離れてしまうのではないかと多くの人が考えました。

しかし、実際に10月に統合してどうなるか不透明な要素はあるものの、それぞれの特徴を生かしてうまく棲み分けていくのはないかと考えられています。

LINEの顧客はスマホを使う若い女性が中心です。これはパソコンで育った男性中高年が多いヤフー(PayPay)とは対照的です。

そう考えるとLINEの利用者は、ヤフーにとっては、一番欲しかった顧客層といえるでしょう。食い合いはしないどころか、最も理想的な組み合わせといえます。

したがって、メルペイとオリガミペイも上手にすみ分けていくのだろうと思われがちですが、どうもそうではないようです。

それはなぜかというと、メルカリがほしいのは、オリガミが持っている顧客層ではなく、地方の加盟店だからです。

Next: 赤字が膨らんだオリガミの決算。QRコード決済は3極化による小康状態へ?

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