赤字が膨らんだオリガミの決算
オリガミペイの加盟店は地方の中小の店舗が中心で、約19万店です。
これに対してメルペイの加盟店は約170万店とオリガミペイに比べると桁違いに多いのですが、その大半は三井住友カードや電子マネーのiDの加盟店です。
ということは、メルペイの加盟店の多くが大手ネットワークの店舗であって、その軒先を借りているにすぎないのです。自前で開拓したものではないということです。
そのため、満足な顧客データを手に入れることができません。キャンペーンをやるにしてもiDが行う範囲以内のものにならざるをえません。結果として大きな成長が見込めず、うまみがないサービスということになってしまいます。
それがわかったために、経営体力を消耗しているけれども自前の加盟店をしっかり持っているオリガミに白羽の矢を立てたのです。オリガミは2016年=6億8,900万円、2017年=13億600万円、2018年=25億4,400万円の赤字を計上し、業績が急速に悪化しています。
メルカリが欲しいのはオリガミの加盟店だけですから、買収後、オリガミペイをメルペイに吸収することになるでしょう。
昨年、メルカリはLINEやNTTドコモ、KDDIとQRコード決済の加盟店開拓を共同で行う団体を設立していましたが、冒頭で述べたようにLINEがヤフーとの提携を発表したためあえなく空中分解してしまい、加盟店の共同開拓は日の目を見ずに終わっていました。
3極化による小康状態に?
今後、QRコード決済サービスの集約・淘汰の動きはさらに加速していくと考えられますが、体力勝負の消耗戦が続けば、資本力のある大手も無傷ではすみません。
主なQRコード決済サービスのなかでは、ヤフー+LINE連合、メルカリ(+オリガミ)に加えて、Suicaと提携した楽天(楽天ペイ)が3極を形成。
それにKDDI(auペイ)、NTTドコモ(d払い)などの携帯キャリアのQRコード決済サービスがからみながら、展開していくでしょう。
そのなかで中心となるのは、やはりヤフー+LINE連合だと思います。ヤフーとLINEの月当たりの利用者は1億3,000万人を超え、PayPayの登録者数は2,000万人、LINEPayは3,600万人と合わせて6,000万人近くに達します。
この国内では圧倒的多数のユーザーを力の源泉にして、利用者の生活全般を網羅する「スーパーアプリ」構想を打ち出しているヤフー+LINE連合が他を一歩、あるいは数歩リードしているのは間違いありません。
こうした構図を頭にいれながら、これからのQRコード決済選びを進めていくとうまくいくでしょう。
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2020年2月3日)
※タイトル、見出しはMONEY VOICE編集部による
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