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韓国、コロナ撃退に歓喜も迫る財政破綻。家計債務の急増で「第二のギリシャ」へ=勝又壽良

進歩派が狙う永久政権の落し穴

今回の総選挙による与党大勝は、今後とも文政権の経済政策を変更するシグナルとならなかった。

ただ、先の総選挙の期日前投票結果について、統計学者や学者集団から統計学的にあり得ない「与党大勝」として疑念が突付けられている。投票箱のすり替え疑惑である。

今後、どのような展開を見せるか予断はできぬが、司法権を全て握る政権側によって、うやむやに葬られるだろう。そうなれば、韓国の将来はさらに暗い予想に立たざるを得ないのだ。最早、立ち止まって経済政策を再点検する。そういう機会が失われるからである。

近視眼的に労組や市民団体に迎合し、国民不在の政策を強行すれば、韓国経済はどうなるのか。中立的な立場による、冷静な判断の機会が失われている。進歩派の最大の政治目的は、文政権以降も政権を継続させることだけである。それによって南北統一を実現し、朝鮮半島の地図から「38度線」を消す。進歩派は、それが唯一の目標である。

民族統一は重要である。それを否定しない。だが、金ファミリーに支配された北朝鮮と統一することが、韓国にとっていかなる意味を持つか。そういう冷静な視点はなさそうだ。せいぜい、南北統一して日本へ対抗するという夢であろう。その時のアジア情勢が、どう変わっているか。米国の「インド太平洋戦略」で、日・米・豪・インドが連合を組み、中国と対峙するという地政学的な大変貌を遂げているはずだ。その時に「反日」を叫んでも、何の意味も持たない時代の変化に気付かないのだろうか。

韓国進歩派の実態は、民族主義である。75年前の日韓併合の恨みを晴らす。それが、唯一の外交目標であろう。世界情勢は、そういう過去の情緒を乗り越えて動いている。太平洋戦争を敵味方で戦った日米が同盟を組んで、共産主義と対峙する時代である。韓国は、共産主義の北朝鮮と手を組みたいという。時代錯誤も甚だしいのである。

文政権は、歴史の歯車を逆回転させてまで、過去へ固執する姿勢を貫いている。こういう政権が、まともな経済政策を行う合理的な判断基準を持ち合わせていると考えられないのだ。そこで、先に掲げたデータに話を戻したい。

コロナ禍がもたらす韓国金融危機

企業部門の債務残高が対GDP比で、14年に99.5%へ悪化した後、次第に改善して17年には92.7%まで低下した。だが、文政権による「反企業主義」によって、18年以降は再びこの比率が上昇に転じている。企業の債務増加は通常、家計債務の増加と違い、設備投資や研究開発など、前向き投資の反映と理解されている。

韓国のケースは異なるのだ。資金繰り難を解消するという、後ろ向き資金需要が大宗を占めていた。設備投資の減少がそれを示している。文政権が、スタートした17年5月以降に資金需要の中身に変化が現れたのである。19年には、企業債務残高の対GDP比が102.1%へ高まった。この背景には、文政権の最低賃金大幅引き上げや週最大52時間労働制で、賃金コストを押し上げていること。営業不振が、債務増加を招いたものと見られる。

IMFが4月21日に公開した、「韓国金融部門評価プログラム(FSAP)」報告書によれば今年、中小企業貸付の約40%が回収困難と見ている。家計負債の約15%が、現在危険な水準にあると判断。約11%は、返済能力が疑わしいと診断したのである。

早くも、コロナ禍による金融面へのしわ寄せである。この穴は、政府として放置できず、最終的に財政資金で救済することになろう。国家債務は、対GDP比でいずれ50%を上回る局面だ。

Next: 遠くない「第二のギリシャ」。民間債務残高(企業+家計)は――

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