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韓国、コロナ撃退に歓喜も迫る財政破綻。家計債務の急増で「第二のギリシャ」へ=勝又壽良

文政権の最低賃金引き上げという失政によって失業者が急増し、家計債務もまた急増している。これらは最終的に財政赤字拡大へしわ寄せされる。韓国はいずれ「第二のギリシャ」となりうる状況だ。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)

※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2020年5月7日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

コロナ撃退に沸く韓国

韓国は現在、意気揚々としている。コロナを一応、撃退したことから世界の賞賛を浴び、韓国製品に「Kプレミアム」が付いているというもの。これまでの「Kディスカウント」が、逆転したというはしゃぎぶりだ。それは、それで結構なことであり、隣国としての日本は、「祝意」を送らなければなるまい。ただ、「反日宣言」を受けていることから、その祝意もトーンダウンである。

韓国にケチをつけるわけでないが、コロナ撃退の診療体制は「3分診療」であった。韓国医師が、その内幕を語っているのだ。普段から、医療予算が削られており、少ない予算で効率的診断方法を磨き上げてきた結果が、「3分診療」で成果を生んだというのである。日本でも大病院は20~30年前、半日待たされ「3分診療」という批判が殺到し、現在は改善されている。韓国はこの状況が、現在も続いているのだろう。これでは、高度医療の発展は難しかろうと、他国のことながら案じるのだ。

韓国は、コロナ対策では「Kプレミアム」でも、経済面でいよいよ「Kディスカウント」の局面へ転落する。韓国の文政権が、それを明確に認識していないだけなのだ。それは、韓国家計の債務残高が対GDP比で急上昇している点である。

家計債務の急増問題は、中国経済も当てはまるが、韓国の方がはるかに深刻である。家計債務の急増が、個人消費に悪影響して最後は経済成長率を低下させるという「業病」なのだ。

失政が生んだ失業者急増と財政赤字拡大

文政権は、家計所得を増やす目的で最低賃金の大幅引き上げに踏み切った。2018~19年の2年間で約29%もの最低賃金引き上げである。

これに耐えられる中小企業や自営業が、それほどあるはずがない。韓国では、最賃引上に罰則を設けているので、多くの零細・弱小企業は、従業員を解雇して罰則適用を免れた。こうして、雇用状態が急悪化した。

これをカバーすべく、政府は数兆円を支出してアルバイトを増やすという苦肉の策に出ざるを得なかった。最低賃金の大幅引き上げという無謀な政策は、失業率を高めるだけでなく、財政赤字を膨らませる事態を招いた。それだけでない。失業へ追いやられた人々は、借金で生活を支えざるを得なかった。

家計債務は、コロナ襲来による強制休業も加わって、今年は膨張の一途を辿っているはずだ。その実態は、後で取り上げる。

債務の急増による家計の逼迫(ひっぱく)は、最終的に財政赤字拡大へしわ寄せされるはずである。国民生活を窮乏(きゅうぼう)のままに放置できないからだ。

Next: 韓国の政治情勢は、文政権の進歩派が象徴するように「ニセ革新派思考」が――

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