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韓国、コロナ撃退に歓喜も迫る財政破綻。家計債務の急増で「第二のギリシャ」へ=勝又壽良

確信犯が生む経済破綻の序曲

韓国の政治情勢は、文政権の進歩派が象徴するように、「ニセ革新派思考」が主流である。最低賃金の大幅引き上げは、生産性上昇率を無視して強行された。経済合理性を欠いているのだ。

その背景には、「反市場主義」や「反企業主義」というごとく、資本主義経済のルールを無視するのが当然という思考が支配している結果だ。民間経済の活性化は、財閥を利するという偏見に囚われている。その偏見が、2年間で約29%もの最賃引上を実現させ、雇用状態を破綻させたのだ。

これが、家計債務の急増を生んだ背景である。韓国の有権者には、これがいずれ韓国財政を追い込み、「第二のギリシャ」になるという危機感がゼロである。ギリシャの財政破綻は、家計債務が急増した結果ではない。韓国よりもはるかに健全である。そのギリシャが、財政破綻したのである。その意味で、韓国の政治情勢は深刻な問題を抱えている。

ついでに触れておかなければならないのは、日本の財政赤字問題である。対GDP比の国家債務は、世界最高の230%超(2018年)である。だが、「円」はドルに次ぐ安全通貨として、世界経済が混乱に陥るたびに、「円高」に振れている。これは、日本の対外純資産が世界一という裏付けがあることだ。日本の国債問題が、不安を呼ぶことなく信頼をつなぎ止めている裏に、次の点を指摘すべきであろう。

1)日本の国債は、多くが国内で保有されていること
2)国債で調達して資金が、研究開発や生産性向上をもたらす部門に支出されていること
3)経常収支黒字を維持していること。これが、世界一の対外純資産を維持させている

これらの3点が、単純な「財政赤字忌避論」を退け、米国において「MMT(現代貨幣理論)」なる国債増加容認論を生む理論的背景になっている。いわば、日本が最新貨幣理論提起のきっかけを作ったとして注目されている。世界的な人口高齢化を反映して、「低成長・低物価・低インフレ」という3要件が先進国経済で普遍化してきた。そこで、改めて先行する日本の財政政策について、見直し論が強まっているのである。

日本の巨額財政赤字は、それを担保する世界一の対外純資産を保有している。だが、ギリシャの財政赤字にはそれを正当化する担保が存在しないのだ。今後、財政赤字拡大を回避できない韓国にも、そういう不安感を遮蔽する担保が見当たらないのである。その点で、ギリシャも韓国も、日本にはない財政不安がつきまとうのである。

家計債務急増は国を蝕む業病

ここで、韓国家計債務残高の対GDP比の推移を示したい。参考までに、企業債務残高の対GDP比も示した。

    企業   家計
2010年:93.2%  73.2%
2011年:93.9%  76.5%
2012年:95.4%  77.3%
2013年:97.8%  78.4%
2014年:99.5%  80.1%
2015年:97.8%  83.1%
2016年:94.5%  87.3%
2017年:92.7%  89.4%
2018年:95.7%  91.9%
2019年:102.1%  95.5%
(出所 国際決済銀行:BIS)

家計部門の債務残高比率は、一貫して上昇している。19年には95.5%にまでなっている。ほぼ、韓国のGDPに匹敵する家計債務である。家計債務の急増による厄介な点は、家計債務が増えた時点では景気を押し上げるが、中長期的に見て経済成長率を引き下げることだ。ちょうど、麻薬に似ている。その時は気分が高揚しても、やがて健康状態がボロボロになる。経済も同じことが起こるのである。

IMF(国際通貨基金)が、2017年に発表した研究では、次のような結果が出ている。対GDP比で家計債務残高が5%ポイント増加すると、3年後の実質GDP成長率が1.25%ポイント引下げられるというのだ。これは、先進国35ヶ国と新興国45ヶ国のデータから引き出された結論である。

韓国は、2019年に前年より3.6ポイント、前々年比で6.1ポイントも増加した。この影響が2020年以降に韓国GDP成長率を引き下げる。このメルマガでは、コロナが及ぼす経済への影響は、決して一過性でないことを繰り返し指摘してきた。債務の増加が、その後の経済に影響を与えるからである。今、IMFの発表した過去の分析に照らし合せてみても、それが分かるであろう。

要するに、韓国経済はコロナ禍以外に、過去の家計債務残高急増の影響が重なって、韓国GDPを急速に押し下げることは、もはや決定的になったと言えよう。

文政権は、反市場主義・反企業主義である。企業活性化が、国民に害毒を与えるという倒錯した考え方に囚われている。その結果、政策の眼目が南北朝鮮の交流事業に向けられ、国民生活に密接な政策が不在になっている。

Next: 総選挙の期日前投票結果について、統計学者から統計学的にあり得ないとして――

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