ケンタッキーは「日常使い」を狙って復活
この戦略で成功したのが、ケンタッキーです。
これまでクリスマスやお正月など「非日常」の需要にばかり偏っていることが大きな問題となっていたのですが、「500円ランチ」など日常での使い方を提案した結果、閑散期の売上が伸び、業績が大きく改善したのです。
「目新しさ」に対する需要は、一時的なもので終わってしまいます。しかし、「日常」で満足感を与えることができれば、マーケティングをせずとも自然とリピートしてもらえ、長期的な売上に繋がります。
モスバーガーが目指すべきは「駅前の定食屋」なのです。
顧客が望むことは何なのか?
それでは、どのような方法で顧客に訴えたら良いでしょうか。ここで役立つのが、マーケティングにおいてよく使われる「ドリルと穴」のたとえです。
今、あなたがホームセンターでドリルを買おうとしています。店員はどのドリルが良いか、モデルごとの違いを詳細に說明してくれます。回転数やドリルの強度の話をよくわからないままに聞かされるのです。
しかし、あなたは別に素晴らしいドリルが欲しいわけではなく、板に穴をあけたいだけなのです。この場合、顧客が求めているのはドリルではなく、ドリルであける「穴」なのです。
それなら、マーケティングでやるべきことは変わってきます。店員はどのドリルが素晴らしいかではなく、簡単な穴のあけ方を説明しなければなりません。そうすれば、顧客は用途に合ったドリルを買えるでしょうし、本当に必要だったのはドリルではなくキリだと気づくかもしれません。
これをモスバーガーにあてはめます。
顧客は商品がいかに安心・安全の認証を受けているかを知りたいわけではなく、マクドナルドと比較検討したいわけでもありません。ただ毎日の食事を手軽においしく済ませたいと思っているだけなのです。