首都圏の駅ナカを中心に店舗を展開してきたスープストックトーキョーは、女性客が8割を占める。スープ屋というイメージが強く、訪れたことのない男性も多いことだろう。だがスープ以外のメニューも充実しており、食事の場としても機能している。スープストックトーキョーが女性ウケした理由と、過去に炎上した離乳食「無償提供」の背景を探ってみた。(山口伸)
プロフィール:山口伸(やまぐち しん)
本業では化学メーカーに勤める副業ライター。本業は理系だが、趣味で経済関係の本や決算書を読み漁っており、得た知識を参考に経済関連や不動産関連の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。
三菱商事の社内ベンチャーとして創業
「Soup Stock Tokyo」は三菱商事に在籍していた遠山正道氏の企画書をもとに生まれ、1999年に1号店をお台場ヴィーナスフォートにオープンした。
翌2000年には社内ベンチャーとして株式会社スマイルズが設立され、Soup Stock Tokyoのほか、ネクタイブランド「giraffe」事業などを展開するようになる。2011年には冷凍スープ専門店「家で食べるスープストックトーキョー」をオープンし、14年にはシンガポールにも出店した。
スープ事業が大きくなったため同事業を分社化し、16年に株式会社スープストックトーキョーが設立された。同社は今年1月時点でSoup Stock Tokyo・53店舗、家で食べるスープストックトーキョー・11店舗を展開し、スープは自社ECや楽天市場でも販売されている。
なおスープについては創業以来、キスコフーズが製造しているようだ。キスコフーズはホテルやレストラン向けに業務用スープ・ソースを提供する企業として知られる。
ファストフードのような注文スタイル
男性は恐らく訪れたことのない方が多いことだろう。Soup Stock Tokyoはファストフードやスタバのような注文スタイルだ。
混雑時にはまず席を確保するように言われ、その後、カウンターに並んで注文する。注文した商品は基本的にすぐに渡され、自分の席に持っていってから食事をとる手筈だ。モバイルオーダーにも対応している。
メニューはスープとカレー、サイドメニューで構成されており、単品の場合はスープが520円、カレーライスが770円、ルーのみの単品カレーは620円である。セットの場合はサイドメニューをご飯またはパンから選ぶことができ、「スープ×2+サイド」のセットは基本1,100円、「カレー+スープ+サイド」は1,200円、「カレー×2+サイド」は1,300円となっている。その他、480円のドリンク類もあり、ドリンクをセットに含める場合は240円となる(いずれも税込、スープのサイズはSの場合)。ちなみに人気のスープとして「オマール海老のビスク」や「東京ボルシチ」などがあげられる。
Soup Stock Tokyoによく行くという筆者の知人女性(コンサル業・30代)によると、お昼時は客層のほとんどが女性であり、複数人で訪れる客は少なくほとんどが一人客だという。会社員風の客もいるほか、主婦とみられる客もいる。食事としてはやや物足りない感もあるが、当人はお店の清潔感を気に入っているらしい。別記事の取材でも創業者は客の8割が女性と語っており、やはり女性客がメインの店舗のようだ。
筆者も訪れてみたが、男性が標準メニューで満腹感を得るのは正直なところ難しいと感じる。小腹を満たしたい、美味しいスープを飲んでみたいと思ったときに訪れるお店といったところか。
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