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異常に高い日本のコロナ検査陽性率、デルタ株70%超に政府はお手上げ?菅政権はどこで間違えたか=吉田繁治

東京都と日本の検査陽性率の異常な高さ

7月末から8月初めの、東京の検査陽性率(陽性者/PCR検査数)の高さは驚異的です。

東京のPCR検査数は1日に8,000~1万件と少ない。保健所の処理限界のためです。ところが陽性数は3,000人から4,000人/日です。検査陽性率は、驚異的な40%~50%(世界のどこにも、こんなに高い率はないのです)。神奈川県でも、検査陽性率は20%を超えています。

1か月半前の21年6月には、全国の検査数8万件に対して、陽性数は約1700人であり陽性率は2.1%でした(50人に1名)。

ところが現在、東京を含む日本全体では、PCR検査数8万件/日に対して、陽性者が1万人(5.9倍)です。陽性率は、12.5%と極めて高い。
※参考:新型コロナウイルス 国内感染の状況 – 東洋経済オンライン

日本では、指定感染症のPCR検査は、保健所と少数の指定病院で行うと厚労省が制限しています(これも日本モデル)。東京で約1万人/日、全国では8万人/日のPCR検査が、現在の条件での物理的な限界でしょう。政府が、PCR検査機関が制限される指定感染症を外す気配はない(2類:SARSと同じ等級、コレラより上)。

霞が関の医系技官の、強い反対があるからです。医系技官は、経産省の原子力ムラとおなじ、医療・製薬との裏組織の共同体を作っています。菅首相は毎日、医系技官との会合をもっています。ここが、PCR検査でも「目詰まり」を起こす場所だったのです。

PCR検査が少ないから陽性率が高い

現在の検査陽性率が12.5%(全国平均:検査数8人に1名の陽性)ということは、PCR検査数を3倍にすれば、新規陽性者も1.5倍や2倍には増えるでしょう。

少ない重症病棟が溢れる医療崩壊を防ぐためとして、当初からPCR検査数を抑制したことが、現在も続いています(これも日本モデル)。

部分的なデータですが、東京都の、発熱外来をもつ医院の医師は、PCR検査をした10人のうち7人が陽性という高さだったという。来院者での蔓延の深さを示しています。

これは「PCR検査をすれば、どこでも感染者が出る状況」であることを示すものでしょう。

一方で、PCR検査数の限界は全国で1日8万件でしかない。東京都が約1万2,000件、人口が約半分の大坂府が1万5,000件、神奈川県や埼玉県が6,000件です。

<PCR検査数・陽性率・発見率>

米国では検査陽性率が3%以下にならないと、PCR検査の少なさを意味するとしています。検査数が少ないと、陽性者の発見が、小さな網のように漏れるからです。

日本ではPCR検査は、数日間の発熱や咳の症状が出る人が受けています。発症したのでないかという自覚がある人だけです。

東京都の検査陽性率である40%~50%は、

(1)街中に(無検査あるいは検査後の)コロナ陽性者が多いこと
(2)自覚がないので、(自主的な)自宅待機はせず、普通に動き、職場・商店・飲食店に行って感染を広げている

という状態を示します。これが、オリンピック下の東京都の実態でしょう。

医師会と厚労省の技官から「医療崩壊」で脅迫された政府は、手段をもっていません。もともと、ワクチン接種の拡大以外の、防止手段をもっていなかったのです。

7月末からは、米国を追って東京でもデルタ株が陽性者の70%になり、ワクチンの感染防止の有効度は、30%台に低下していると推測されます。このためワクチン接種以外の対策をもたない政府は「お手上げ」になったのでしょう。

以上が、「中等症であっても、重症化(=ICUでの人工呼吸器やエクモの装着)のリスクが低い人は、自宅療養」という決定した理由です(8月2日:厚労省+菅首相)。

実情をいえば、支持母体でもある医師会からの突き上げに、医療と医薬の権益の意識が強い医系の技官と政府が、屈服したのでしょう。金メダルとオリンピックの報道の氾濫に隠れるように発表したのは、「いかにも菅政権」です。

Next: 感染力が強くなるとウイルスの毒性は下がるという一般則

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