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岸田新総理の「令和版所得倍増」で泣く人笑う人。“竹中平蔵切り”富の再分配には大増税の毒がある=原彰宏

コロナ禍で求められた政府の手厚い支援

経済政策において「放任→介入→放任(民営化、規制緩和)」という流れにおいて、コロナ禍という状況は、国の関与を強く求める動きとなり、世界的に財政出動の拡大を促進しました。

その一方で、放任による副産物(格差拡大等)とも向き合うことになり、資本主義の難しさと限界が取り沙汰されるようになってきました。

中国のコロナ対策成功が、資本主義の対局として、強く意識されてきたのです。

韓国では「左派資本主義」というものが登場してきました。

英国ではサッチャリズムは間違いだったとして、労働党トニー・ブレア氏が「第三の道」を模索するとして「新しい社会民主主義」を唱えていたのは20世紀末の頃です。民営化批判も相次ぎ、世界では、民営化した水道事業の再国営化も進んでいます。

そんな流れで、岸田政権の新たな経済政策が問われる状況となってきているのです。

端的に言えば「増税派」

岸田政権は総裁選で格差是正により中間層を復活させる「令和版所得倍増」を掲げました。

具体策として、子育て世帯への住居費・教育費支援や介護士・保育士らの待遇改善、賃上げを実施する企業への税制優遇に取り組む考えを示しました。

「所得倍増」というネーミングは、岸田文雄新総裁が所属する宏池会の創始者である池田勇人元首相の代名詞のようなものです。

もともとは宏池会は「財政規律重視派」(財務省幹部)とされます。

ただ、新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた国内経済の立て直しを優先させる方針で、2025年度に国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する目標についても「やるべき順番を間違えてはならない」と先送りする可能性を示唆していると報じられてはいます。

ただ宏池会は、財務省との距離が近く、プライマリーバランス改善は必要という思想が中心にあると思います。

端的に言えば「増税派」です。

国民受けを考えると、ダイレクトに増税と表現するのではなく、「富裕層への増税」という冠をつけて語るほうが受け入れやすいのでしょう。

金融所得課税の見直しを主張しています。

今の株式投資における利益分に対して一律20%の税率となっている部分を引き上げて税収を増やすもので、その分を中間層や低所得者に配分する考えを示しています。

2022年度税制改正の議論でも論点になりそうですが、市場には投資意欲を冷やしかねないとの警戒感があります。

消費税率も、選挙を考えると、増税は当分ないとしていますが、いずれは引き上げは必要という方向に舵を切っていくのでしょう。

Next: 「選挙向け」政策の裏側には大増税が潜んでいる

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