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海外勢が追従?バフェットの“日本買い”に乗っかる日本株投資術。S&P500の「次」として注目される日本市場=岩崎博充

本当に商社株は上昇するのか?

バフェット氏が日本株への追加投資を決めた背景には、資源価格の高騰などで総合商社の業績が向上したことが上げられる。三井物産の23年3月期(国際会計基準)の純利益は1兆800億円になるとの見通しが発表されており、同社の純利益1兆円越えは初となる。三菱商事も、同期(同)の純利益予想を1兆300億円から1兆1500億円に上方修正。ロシアのウクライナ侵攻によって、エネルギー、資源価格などの価格高騰が追い風になった。

バフェット氏が日本の5大商社株に追加投資を決めたことが、世界中の投資家の注目を集めたわけだが、実はバークシャーはその投資資金を全額自腹で賄っているわけではない。円建て社債を発行することで、世界的に見て金利の低い円資金を、そのまま日本株に投資している。4月17日に決めた円建て社債の起債では、発行総額1,644億円に達する。すでに、同社は19年から毎年円建て社債を起債しており、その発行総額は1兆2,000億円に達している。割安な商社株に1%程度の低い金利で投資すれば、3%の配当を得られるため、差額で2%程度の利益が出ることになる。

長期的に見た場合、総合商社の業績がこのまま好調さを保てるかは不透明と言わざるを得ない。バフェット氏も、今後は商社以外の日本株に追加で投資していく方針を示しており、銀行株・不動産・鉄道株といった日本独特の経営基盤で、独特の技術を持つ企業が投資対象になるのではないかと報道されている。

一方、東京市場に注視し始めたのはバフェット氏だけではない。米大手運用会社の「ブラックストーン」のスティーブン・シュワルツマンCEOや「KKR(コールバーグ・グラビス・ロバーツ)」の創業者であるヘンリー・グラビツ氏が3月に相次いで来日している。東京証券取引所が1月に行った「純資産倍率(PBR)」が継続的に1倍を下回っている企業に対して、改善に向けた努力を促す方針を発表したが、東京市場の変化ととらえた海外投資家が増えたのが一因ではないか、とも報道されている。

日経平均株価が、史上最高値を記録したのが1989年12月の大納会。3万8,915円はいまだに超えられない高い壁になっているが、とりあえずバフェット氏に乗ってみるのも悪い選択肢ではないかもしれない。

image by: Krista Kennell / Shutterstock.com
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2023年5月1日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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