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海外勢が追従?バフェットの“日本買い”に乗っかる日本株投資術。S&P500の「次」として注目される日本市場=岩崎博充

「S&P500」への投資の次は日本株か

バフェット氏といえば、米国を代表する株価指数S&P500を活用したインデックス運用を個人投資家に勧めたことで知られている。バークシャーが発行している「株主への手紙」(2013年)の中で、プロではない投資家は「10%の現金で米国短期債を買い、残り90%の現金でS&P500に連動するコストの低いインデックスファンドに投資するのが良い」と提案したことが話題になった。実際に、1965年から2014年のS&P500の年収益率の平均は「9.9%(配当含む)」に達する。

もっとも、バフェット氏が1965年に経営権を獲得したバークシャーの株価上昇率は、22年まで年平均で約20%に達しており、S&P500の9.9%を大きく上回る。市場が過小評価している銘柄に対して投資することが多く、たとえばロシア侵攻の影響でS&P500が18%(配当込み)もマイナスに沈んだ22年。同社は約785億ドル(約10兆円)を株式投資と事業投資に投じている。こうした割安株への積極的な投資行動によって、同社が保有する上場株ポートフォリオは3,087億ドル(2022年末現在、約41兆3,000億円)に達している(日経新聞23年4月13日「バフェット氏再起動上、市場変調 積極投資に転換」より)。

もともとバフェット氏の投資戦略の基本は明確で、コカ・コーラ、アメリカンエキスプレス、アップル、シェブロン、バンク・オブ・アメリカといった手堅い銘柄を長期間保有するスタイルだ。米CNBCのインタビューでも「日本の商社株は10年から20年保有する予定」と応えている。「成長性」「キャッシュリッチ」「割安」といった要素が揃っていて、さらに事業内容が理解しやすい銘柄に投資する傾向があると言われている。

最低でも10年保有、今後も最大9.9%まで追加投資?

今回のインタビューで投資家を驚かせたのは、「商社株以外にも投資対象を日本で探している」といった趣旨の発言があったことだ。日本に対しては、長い間否定的だった同氏だが、米国と対立する中国のリスクの高まりに対して、中国から日本に鞍替えしつつある、と考えられる部分もある。さらに、最近のシリコンバレー銀行やシグネチャー銀行破綻の金融危機は「まだ終わっていない」とも発言している。不安定な金融環境の中で、比較的安全な日本を選んだとも考えられる。

いずれにしても、金融システムが比較的安定していて、割安な日本株を今後も探していくことは間違いない。例えば、5大商社の時価総額は最大でも7兆円程度。41兆円のポートフォリオを持つバークシャーなら丸ごと買えない金額でもない。ちなみに、5大商社の時価総額は次の通り(23年4月28日現在)。

・三菱商事…7兆3,177億円
・伊藤忠商事…7兆1,193億円
・三井物産…6兆5,323億円
・丸紅…3兆2,609億円
・住友商事…3兆375億円

Next: 本当に商社株は上昇するのか?バフェットが追加投資を決めた背景

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