日本の「少子高齢化」が問題化してからもうずいぶんと経ちますが、解決の糸口がつかめません。岸田総理も「少子化は日本が直面する最大の危機」と言いますが、政策やアクションを見ると、“なんとしてでも少子化を止める”という思いよりも「増税」をする大義名分を作っているように思えてきます。そもそも、子どもが産まれるまでの「どの段階」を支援することが有効なのか。いろいろな考え方がありますが、出会い・結婚・出産・子育てなどすべての段階でお金の支援が必要です。この記事では、子育てを支援する「給食無償化」がなぜ進まないのかに焦点を当てて、少子化問題の根深さを考えます。(『 らぽーる・マガジン らぽーる・マガジン 』原彰宏)
※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2023年10月10日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
少子化対策も「増税」の大義名分か
「少子化は日本が直面する最大の危機」……口を開くと、岸田総理はこの言葉を繰り返します。
その先に「少子化対策は必要」と訴えるのですが、今の岸田政権の少子化に対するアクションは、“なんとしてでも少子化を止める”という思いよりも「増税」をする大義名分を作っているように思えるのですがね。SNSの世界では、岸田首相のことを“増税メガネ”と揶揄されているようですね。
内閣官房ホームページ内の「こども未来戦略会議」には、以下の記載があります。
こども・子育て政策の強化を図るためには、幅広い関係者の知見を踏まえ、必要となる施策の内容、予算、財源について総合的に検討を深める必要があることから、全世代型社会保障構築本部の下に、「こども未来戦略会議」を開催する。
そういえば岸田総理は社会保障制度を「全世代型社会保障」と表現していましたね。社会保障と聞けば高齢者のためにあるものというイメージがあるので、若者をケアするものとしての「全世代型」と表現したと理解しています。
「少子化対策」と言っても、どの段階を支援するのか?
子どもに関わる状況、時間経過と言えばよいのでしょうか。子どもとの接し方といいますか、それぞれの局面で、支援のあり方が異なってきます。
この「子育て」の段階を細かく見てみると、
これらはいわゆる“一般的”というものですが、海外では子どもを産むのに「結婚」という形式を必要としない国もあります。
自民党の女性議員が、海外研修でエッフェル塔の前で記念写真を撮って非難を浴びたフランスでは、結婚を前提としない「事実婚」による出産も受け入れたことにより、合計特殊出生率が改善しました。
従って、自民党女性議員がフランスに少子化対策を学びに行っても、そもそも家族制度に重きを置く自民党の宗教右派思想がある限り、あのフランス研修からは何も学べないということになりませんかね。エッフェル塔前で記念撮影する以前の問題です。
「男性の育児休暇取得促進対策」は、上記の時間軸で言えば「子育て」の段階で効果を発揮するものですかね。特に「育児」の段階には必要ですね。
その他の時間軸で考えると「保育園待機児童解消対策」や、女性の育児後の「現場復帰の待遇保証」の問題も考えられます。育児休暇期間がどれくらいが適正かを見直すことも必要になるかもしれませんね。
とにかく「お金の援助」が必要
これらは物理的な問題、つまり行動変容、それを促進するための制度を見直すものですが、すべての段階で共通に必要なのが「お金の援助」です。
すべての局面で「経済的サポート」が必要になってきます。
出産費用の補助、出産一時金の引き上げ等育児休暇中の給与保障。海外ではおむつ代などの給付もあるそうですよ。また「児童手当の拡充」のような直接給付の手当から、「小中高教育費無償化」のような間接的サポートもあります。
今回の記事で取り上げるテーマ「給食費無償化」の是非は、この金銭面における間接的サポートに属する問題になるのでしょう。
以前、教育費を無償化するだけでは、子育てを支えるのには不十分であるというコラムを書きました。
「隠れ教育費」の存在です。教育費無償化だけでは、子育て支援の観点から不十分だとするものです。
奨学金の問題も、子ども自身の人生設計においては重要な問題です。「給食費」に関しては、学校教育だけの話ではなく、もっと根深い「貧困問題」にかかわってくるのです。