ところがリフレ派理論どおりに現実経済は動きませんでした。
日銀自身、9月の総括によってそれを認めました。
黒田総裁も金融政策だけでなく財政政策、
成長戦略の併用が必要だと主張するようになったのです。
安倍総理の選択はまた間違ってしまいました。第二の躓き、誤算です。
現在、多少は財政出動に対して以前より
前向きになったと思われますが、実際上、
アベノミクスは新自由主義的な成長戦略だけになってしまいました。
第四段階です。
安倍総理は、成長戦略の中心はTPPであると言明し、
発効のための先導役としてTPP批准に邁進してきたわけです。
ほぼ掌中にしかけたところで、11月のトランプ旋風!
本年三度目の躓き、誤算です。
これからのアベノミクスはどうなるのでしょう。
2006年に誕生した小泉内閣後継の第一次安倍内閣では、
構造改革路線をより先鋭化した新自由主義的政策を模索しました。
今年も外国人労働者の受け入れ拡大につながる法律が成立しました。
現在は、TPPの挫折を振り払うかのように、
新たな成長戦略の目玉としてカジノ法案の成立を強行しようとしています。
賭博の合法化は、社会規範を揺さぶる大問題です。
ほんの一握りの人間の利益のために社会の破壊を
厭わないのが、新自由主義者の常套手段ですから、
それに沿った動きと思われます。
成長戦略との名称を付せば、何をやっても
許されるというものではありません。
安倍総理には、このコラムの執筆陣が主張している
経世済民思想にはやく気づいてほしいものです。
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『三橋貴明の「新」経世済民新聞』(2016年12月10日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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