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割安な新興国株、米中問題を織り込んだ日本株に注目?2019年の推奨ポートフォリオとは=田中徹郎

<アメリカの景気と利上げ>

では実体経済のほうはどう動くのでしょうか。

たしかに米中貿易摩擦問題は気になりますが、上記のような理由で僕は、少なくとも貿易不均衡問題に関しては、中国が目に見える形で譲歩すると思います。これはアメリカの経済にとって、決して悪いお話ではありませせん。

一方で気になるのは減税効果の剥落です。今年の前半あたりまでは、昨年行ったトランプ減税の余韻があるでしょうが、後半になれば剥落します。

ねじれ議会の影響による、政策決定の遅れも気になるところで、特に公共投資の拡大は難しいでしょう。

このようなことから、アメリカ経済は徐々にスローダウンとみております。

FRB(アメリカの中央銀行)は、今のところ年2回の利上げを念頭に置いているようですが、最近のパウエル議長の発言を聴くと、急にハト派色が強まってきているように思います。

本人も昨年4回の利上げはちょっとやり過ぎたと、不安になっているのではないでしょうか。

3月は「90日協議」の期限ですので、動きづらいでしょうから、次の利上げは6月が本命で、今年はその一回で終わる可能性もあるでしょう。

アメリカ経済がスローダウンしながらも、そこまで悪くならないと考えるのはこのような点からです。

なお年内利下げを予想する人も多いようですが、僕はそこまでアメリカ経済が弱いとは思いません。

<中国経済>

中国当局の危機感は相当高いのではないでしょうか。

・高齢化等によって経済の成長性が徐々に鈍化している点⇒長期
・懸案のシャドーバンキング対策として、公共投資の縮小や銀行による貸し出しの抑制などバブルつぶしを行った結果、循環的にも経済成長が鈍化している点⇒中期
・米中による関税引き上げの結果、一時的に経済に逆風が吹いている点⇒短期

上記のように長期、中期、短期、いずれの視点で見ても、いまの中国経済には逆風が吹いており、このままの状況を放置しておけば「中国100年の夢」は絵に描いた餅に終わってしまいますし、一帯一路も店じまいです。どう考えても彼らのプライドが許さないでしょう。

それを避けるためには、アメリカに対し一時的に妥協の姿勢を示しつつ、金融、財政を総動員してでも経済を引っ張り上げなければなりません。

さらにここのところ習近平さんへの一極集中が弱まっているとも言われ、習さんの焦りは相当大きいはすです。

中国当局はすでに預金準備率の引き下げや、インフラ投資の認可の積極化など行っていますが、さらにここから3月の全人代にむけ、減税や利下げなどを決める可能性があります。

議会を経ず機動的に政策を実行できるのは、中国の強みといえるでしょう、このように景気浮揚策を動員する結果、中国経済は年の後半に近づくにつれ、徐々に勢いを増すと考えております。

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