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割安な新興国株、米中問題を織り込んだ日本株に注目?2019年の推奨ポートフォリオとは=田中徹郎

<債券と金利>

一方で今年のアメリカ国債に対して僕はやや弱気です、昨年末に一時10年債金利は3.2%を超えましたが、その後は下がり(債券価格は上がり)、現在の水準は2.7%台です。

3.2%→2.7%の金利下降(債券価格の上昇)は、アメリカ経済のスローダウンを見込んだものだったと思いますが、今年一年をみれば、おそらく現在の水準から3.0%あたりまでを行ったり来たりではないでしょうか。

現在の政策金利は2.5%(正確には2.25%-2.5%)ですが、仮にあと一回利上げをすれば2.75%です。

ですから、もし10年債金利が2.7%を下回れば、それは明らかに長短金利の逆転です。そのような点から、10年債金利がこの水準を継続的に下回るとは考えられません。

一方で今年はねじれ議会でトランプさんも動きづらいでしょう。さらにトランプ減税の効果も(対前年比でみれば)剥落することになります。

このようなことから10年債金利が継続的に3.0%を上回ることも、また考えにくいと思います。

結果的に今年の10年債金利の水準を、2.7%~3.0%程度の狭いレンジで動くとみています。

<国際商品相場>

昨年末に原油は大きく下げました。OPECとロシアが協調減産で合意しましたが、現在の相場(WTI)は1バーレル=50ドル台に過ぎません。たしかに昨年の高値(70ドル)から見れば安いですが、それでも現在の価格は2015年以降の平均的な水準です。

さらに、現在のシェールオイルの採算ライン(1バーレル=50ドル程度)から考えても、現在の相場は適正水準といえるのではないでしょうか。

今年は貴金属にも注目しておきたいと思います。例えば金です。

現在の金価格は1オンス=1,290ドル台です。昨年8月の1200ドル以降、急騰してきましたが振り返ってみれば昨年の初めはほぼ今の水準と同程度でした。

市場では金の急騰がはやされていますが、上記のように一年を通してみればトントンです。

では今年はどうでしょう。

今年はアメリカの利上げペースが緩むと予想され、金利の付かない金にとってはプラスです。

米中の覇権争いや、アメリカの政局流動化(極端な場合は大統領の弾劾)は金の買い材料で、今年の金は上振れしやすいとみております。

一方でパラジウムのほうは昨年ビックリの急騰でした。

その結果、現在の相場は1オンス=1,290ドル台で、金とほとんど同等です。

何とこれは史上2回目だそうです。

兄弟のプラチナは、ヨーロッパでディーゼルエンジン車が売れなくなった影響で価格は急落ですが、パラジウムがたくさん使われるガソリン車のほうは、新興国中心にマズマズ売れています

一方で採掘のほうはといいますと、パラジウムは金やプラチナと違って単独でとれる鉱山はほとんどありません。

ですからパラジウムが値上がりしても、パラジウムに的をしぼって採掘するというわけにはゆきません。

このようなことから、現在のパラジウムの価格が早晩崩れるとは考えづらく、今年も高原状態が続くのではないでしょうか。

穀物もマークしておきたいですが、例によってお天気次第、夏場の急騰があるかないかは、「神のみぞ知る」です。

ただしトウモロコシや大豆など、3年連続の大豊作を前提に現在の価格が形成されています、天候不順に見舞われた際のエネルギーは相当溜まっているといえるでしょう。

下値が限られている一方で、賭けに買った時のリターンが大きいという意味で、「買い方」に有利な条件にあるといえるでしょう。

Next: ヘッジファンドの動向と現物資産の今年の動向について…

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