日本の格差その6:高齢者の格差
日本は超少子高齢化社会に突入しているのだが、老後資金を数千万円以上保有して何とか身を守ることができている高齢者がいる反面、貯金はほとんどなく年金だけでは暮らしていけない高齢者も莫大にいる。
生活することができなくなった挙げ句、生活保護を受けることで生きながらえる高齢者もいるわけで、いまや生活保護受給者の半分以上が高齢者になっている。
政府は「生涯現役」を謳っているのだが、実際に生涯現役で全うできる人はそれほどいないわけで、資産を作れないまま高齢化した場合、そこから挽回するのは不可能に近い。そうなると、高齢者の格差は深刻なものにならざるを得ない。
今、日本で起きているのがこの高齢者の格差である。
問題は単身世帯の高齢者が増えていることだ。夫婦世帯の高齢者の場合、ふたりの年金を足して暮らしていける。「65歳以上70歳未満」世帯の公的年金の平均受給額は、夫婦世帯では年241万1,000円だが、単身世帯の場合は年136万9,000円である。
日本の格差その7:ひとり親世帯の格差
生活保護受給者で高齢者と共にかなり多いのが「ひとり親世帯」である。
特にシングルマザーの貧困が深刻だ。シングルマザーの比率は少しずつ増えており、子どものいる1,209万世帯のうち、82.1万世帯が「母子のみ世帯」である。
厚生労働省の資料によると、シングルマザーの約20%は無職であり、働いているシングルマザーも57.0%が非正規雇用である。そのため、ひとり親世帯の相対的貧困率は54.6%と圧倒的な数字になっている。
そして、このひとり親世帯で育った子どもたちもまた貧困で暮らすことになり、資本の格差、教育の格差、企業の格差などを背負い込むことになる。
子どもの貧困が注目されるようになってから、こうした貧困に沈んでいる子どもたちを支援する動きも活発化しているが、根本的な原因が解決していないので、貧困問題が複合的に子どもにのしかかる。