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金価格の現在はどんな状況といえるのか?長期的なトレンドでは4~6倍に上昇する=吉田繁治

それぞれの要素と金価格の、確率的な相関関係

(1)金価格は、基軸通貨の米ドルが下がる予想されているとき上がる、確率的な傾向があります(以下の記述では確率的を省略しています)。

(2)米国の株価指数が下落すると、金価格は上がる傾向をもちます。株を売って、金を買う動きが出るからです。

(3)世界の金利変化を主導している米国の長期金利が下がると、金価格は上がる傾向があります。ドル金利の下がった国債を売って、金を買う動きがでるからです。

(4)もっとも幅広い、米国株価指数のS&P500のボラティリティ(VIX:指数の、変化の標準偏差の2倍)が高くなると、金価格は上げる傾向があります。VIXは、恐怖指数とも言われるリスクを示す指標です。

価格変動率を示すVIXが上がると、株の価格リスクが増えていることになるので、VIXが高くなった株価指数を売り、債権国の通貨である円やスイスフランとともに、安全資産とされている金を買う動きも出ます。

(5)ペーパーゴールド(金証券)である金ETFの買いが増えると、金価格は上がる傾向があります。売りが増えると、金価格は下がります。

(6)債務国通貨であるドルの長期的な下落を想定した中央銀行の金買いが増えると、金価格は上がる傾向があります。金買いの最大手は中国です。

中央銀行の買いという要素への(注)

国債の対外的な信用度(格付け)が低い新興国の中央銀行は、基軸通貨の米ドルと金を海外との交換が必要な自国の通貨発行の準備資産(通貨信用の裏付けになる資産)にしています。

ドルが下がると予想したときは、逆に上がることが多い金を買う傾向が、特に2010年以降に生じています。

なお先進国では、自国の国債を準備資産にしています。日銀の「国債を買ってる通貨を発行」というのがこれです。

2010年以降、自国の通貨信用を高めるために、金準備を増やしているのは、新興国の中央銀行です(中国を圧倒的な筆頭にして、インド、ロシア、ブラジル、トルコなど)。

とりわけ、「中国の金買い」が大きく、2008年からの金価格は「中国の買いが主導して上がり、FRBの誘導のよる金ETFの売りが下げた」と言っていいものです。

短期の金価格は、上記6つの要素の変化に対応して変動するとすれば、妥当な見解になるでしょう。20年以上の期間では、金価格と決める6つの要素も変化します。今後10年間なら、要因そのものの変化は小さいと判断しています。

Next: 長期的な金の価格は、今後上がっていく可能性が高い

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