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金価格の現在はどんな状況といえるのか?長期的なトレンドでは4~6倍に上昇する=吉田繁治

中国の金買い

中国の金買いが増えたのは、ドル発の金融危機だったリーマン危機のあとの2009年からです。人民銀行は米ドルを準備資産として人民元を発行しています。「元に対するドル安」になると、通貨発行の準備資産の不足になります。これを、もっとも大きな原因として、「下がるドルの代替資産として価格が上がる金」を買っているのです。

▼(要素4)中央銀行の、金買い越し額が増えると、金価格は上がる傾向が強い。

中央銀行の合計は、1971年からのドル危機(ドル1/3への下落)に対して上がっていた金価格(1980年、1オンス850ドル)を下げるため、1999年まで、1年に400トン~600トンの金の放出を続けていました。

(注)戦後から1971年までは、1ドル=360円でした(金準備制のドルに対する固定相場)。1971年にドルの金準備制が停止され信用通貨になったドルは、1987年は1ドル=120円台です。2度の石油危機の後のドルは、円に対しても、1/3に下がっています。これが1971年kから1990年までドル危機です。

1980年から1999年の金価格は大きく下落した

ドル危機の最中だった1980年からは、中央銀銀行の金放出という要因で、金価格は1980年の1オンス850ドルのピーク価格から326ドル(38%)にまで約2/3も下げていたのです。

2000年の金価格は、円でも1グラム1,000円くらいと安かった(現在は5.5倍の5,500円台)。20年間の金価格下落と低迷は、FRBの主導による、米国+欧州による中央銀行の金放出が原因です。金価格の上昇は、基軸通貨のドルの価値下落を意味するからです。FRBの金への認識は、ドルの反通貨だとということでしょう(これは、決して言われないことです)。

1999年のワシントン協定

ところが1999年には、米国FRBは1/3の下がった金価格に安心したのか、主要国の中央銀行との間で「ワシントン協定」を結び、金の合計放出を400トンに制限しました。その後、ワシントン協定は3回、更新されています。「金は信用通貨にとって、準備資産として重要なものだから、中央銀行の金の売りを協調して1年400トンに制限する」という合意でした。

2000年から2008年

2000年は、米国IT株バブルの崩壊、2001年は、あの9.11でした。この間、ドルの世界の通貨に対する実効レートは下がり続け、代わりに金価格は約3倍に上がりました。

主因は、ワシントン協定による中央銀行の金放出量の制限でした。400トンへの放出の制限によって、1999年からは金の市場投入が減ったのと同じ効果が生じたからです(供給量の減少=需要量の超過=価格上昇)。

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