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金価格の現在はどんな状況といえるのか?長期的なトレンドでは4~6倍に上昇する=吉田繁治

2008年9月のリーマン危機は、ドル危機でもあった

2008年9月からは、ドルと銀行の危機でもあったリーマン危機でした。このあとの金価格は、1,024ドルから1,897ドル(年平均)にまで、3年間で873ドル(85%)上がったのです(2011年)。根底にある原因は「基軸通貨であるドルの下落」です。ドルが下がったので、金の代替需要が増えたのです。この時期から金は、ドル反通貨という性格をもちました。

中央銀行は、金を通貨と認識していますが、金投資家を除く世界の国民には通貨という認識は薄いでしょう。政府または中央銀行が発行する信用通貨だけが通貨であると、政府によって馴致されているからです(飼いならされた国民)。

世界の政府は、国民に対して「国民は、政府に頼(よ)らしむべし、知らせるべからず」という姿勢です。わが国の財務省の、決済資料書き換えからもわかることです。

マレーシアのマハティールが、金準備制のアジア基軸通貨を提案していること、そして、2019年8月24日の、世界の金融首脳が集まる「ジャクソンホール会議」で、英国銀行の総裁が「経常収支が大きな赤字のため、長期では下落するドル基軸に代わって仮想通貨を貿易通貨にする提案」をしたことは、メディアでも伝えられていません。

2013年からの金ETFの売りが、金の最高価格1,897ドル(2011年平均)を1,200ドル台に下げた

現在もピーク価格である1オンス1,897ドルに上がった金価格に対しては、(推計ですが)FRBの主導で、金ETFの売り(1913年からの3年間で1,201トン)による金価格崩しが画策され、金価格は、2015年の1,298ドル(年平均:-32%)に下げました。

この間、金価格は1/3も下がったのです。ただしFRBは、ドルの反通貨であると新興国が認識している金価格については、頑なに発言しません。FRB金への対策(常に下落誘導)は、推計によるしかない。

2010年からは、新興国の中央銀行による金の買い

2010年からは、米欧日以外の新興国(BRICs)の中央銀行による「金買い」が起こりました(年300トンから600トン)。新興国の中央銀行は、自国通貨の発行の準備資産を、ドルと金にしていることが多い・中国はドルの外貨準備が、人民元発行の準備資産です。サウジ、ロシア(ドル+ユーロ+金)も同様です。

新興国の通貨

新興国が、国際的な支払いに使われる基軸通貨のドルを準備資産にするのは、対外的な財政信用が低く、自国の国債を準備資産にしても通貨信用は得られないからです。日本、米国、欧州は、自国の国債を買って通貨発行の準備資産にしています。

対外的な通貨信用が得られないと外貨との交換ができず、貿易ができまでせん(可能な貿易量が減る)。貿易ができないと、GDPの成長は低いものになります。

(注)今、アルゼンチンが通貨危機(ペソの下落=2.33円→1.78円:1か月で-26%)です。対外債務のある新興国が、通貨危機になると、対外債務はドル建てなので債務がペソでは膨らんだようになって、デフォルトになっていきます。国家のデフォルトとは、対外債務の返済と利払いを引き伸ばすことです。

既発国債の評価額は額面から60.5%下がり、39.5%になりました(19年9月4日)。ペソが、ドルに対して1/3に下がったことと同じ意味です。通貨の下落から起こる金融危機はこうした意味をもっています。

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