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楽天は2,000億円を投資、ヤフーがZOZOを買収して手に入れたのは物流システムだった?=シバタナオキ

ヤフーが本当にほしかったものは何か?

さて今回の買収でヤフーが本当に手に入れたかったものは何か?というのも少し考えてみたいと思います。

1つ目はヤフーの成長戦略にもある、eコマース事業における取扱高と営業利益の足し算ということになるのではないでしょうか。

出典:同前

出典:同前

このスライドにある通り、ヤフーのeコマース事業は年間の取扱高が1.87兆円まで増えてきています。そこにZOZOの3,231億円が足されるという計算になります。

出典:同前

出典:同前

営業利益ベースで見ると、ヤフーのコマーシャル事業の営業利益は年間558億円ですが、ZOZOの営業利益を追加することで1.8倍の規模感になるということで、利益面での貢献が非常にに大きいというのが今回の買収の最大のポイントではないかと思います。

出典:同前

出典:同前

最近はアスクルとのトラブルがあったので、ヤフーのM&A戦略に疑問を持つ人も多いかもしれませんが、買収に関しては実はとても成功しており、トラベル事業の取扱高は買収前後で1.9倍という風に、大きく伸びています。

2つ目にヤフーが欲しかったものというのは、ファッションカタログ(とその作り方)なのではないでしょうか。

eコマース事業を担当された方であれば、ファッションカテゴリーというのは他のカテゴリーと違う点がとても多いということに気づかれる方が多いかと思います。

同じ商品でも異なる色サイズなどなど、カタログの管理がとても複雑なのがファッションカテゴリーです。

2010年にヤフーとZOZOは以下のような提携をしていました。

1) ファッション製品データベース(Fashion Data Base)に関する事業
スタートトゥデイは、ZOZOTOWNで取り扱う製品情報をはじめ、それ以外の国内で流通するファッションブランドの製品情報をも集めた日本最大級のファッションデータベース(Fashion Data Base 以下、FDB)の構築を目指します。このFDBを利用し、本日よりヤフー! JAPANは、ヤフー! JAPAN内のショッピングサイト「ヤフー!ショッピング」にてFDBに登録されている商品の情報を検索結果などに表示します。また今後は「ヤフー! FASHION」をはじめ、ヤフー! JAPAN内のファッション領域にて、このFDB製品情報を表示予定です。表示された製品のリンク先はZOZOTOWNをはじめとしたそれぞれの正規取り扱いオンラインショップとなります。

出典:ヤフー! JAPAN と スタートトゥデイの業務提携、4つの事業からスタート(2010年11月24日公開)

今回の買収で、ここにあるようなファッションデータベースの構築がさらに進んでいくと、ZOZOの取扱だけだけではなく、ヤフーショッピングや今後ローンチされるpaypayモールなどでもファッション関連の取扱高が増えていくのではないでしょうか。

ファッション関連のカタログデータベースがしっかり整備されれば、対メルカリという文脈でも非常に大きな競争優位性を作れるのではないかと考えられます。

Next: ヤフーが手に入れたいのは、ZOZOの物流システムだった

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