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中国はどうやって新型コロナを抑えた?日本では報道されないアリババほかIT企業の底力=牧野武文

ジャック・マーの英断がSARS対策で奏功

アリババは必要な物資の確保に走ります。

今の新型コロナと同じように、マスクが不足し、食糧が不足していました。人々は外出を控え、人混みを避けるようになったため、小売店の店舗からは人がいなくなります。

そこで、多くの人がECを使うようになり、アリババのタオバオが急速に知られるようになったのです。これはアリババの成長の大きなきっかけになりました。

もちろん、ジャック・マーは、この時にビジネスも忘れていません。経済活動が停滞気味の中で、タオバオのテレビ広告を全国に流しました。この時は、多くの人が外出を控え、しかもイラク戦争が起きている最中だったので、多くの人がテレビを見て過ごしていました。アリババとタオバオの名前が全国で一気に知られるようになりました。

つまり、アリババは、SARSにより直接的な被害を受け、なおかつ、SARSにより会社が成長することになりました。アリババがこの新型コロナに無関心であるわけがありません。

即座にマスク転売禁止へ

新型コロナが武漢市で感染拡大をしているという一報が入ってすぐ、アリババがやったことは、自分たちにもすぐできること――タオバオでのマスクの高値販売禁止でした。

春節を明日に控えた旧暦の大晦日の日、武漢市で原因不明の肺炎が拡大しているというニュースが報じられます。この時報告された患者数は、中国全体で443人、死亡者数9人というものでした。

その日のうちに、アリババのECサイト「Tmall」「タオバオ」では、マスクの値上げ禁止の通達が全出品業者に送られました。多くの出品業者はそれを受けて、マスクの商品写真に「値上げ禁止を承諾」「在庫充分」「春節期間も発送」といった文字を付け加えて販売するようになりました。

また、消費者に対しては、マスクに関する補助金制度を発表します。万が一、高値で販売している業者から購入してしまった場合、標準価格との差額をアリババが補填をするというものです。

タオバオには無数の業者が出品をしているため、タオバオ運営だけでは値上げ禁止に違反する業者を監視しきれません。そこで、消費者が発見した場合、差額を補填し、その出品業者のアカウントを即刻凍結することで、悪質な業者を徹底的に排除しようというものです。

また、医薬品を当日配送をしてくれる阿里健康では、春節期間中休みなく営業し、マスクや消毒用アルコールなどの宅配を続けることを表明しました。

それでも、感染拡大があまりに大きく、マスクは品薄となりましたが、少なくとも高値で転売をする目的で大量に買い占める業者、個人はかなり排除できたと思われます。

Next: アリババを筆頭にテック企業が次々と寄付。日本では報道されない中国の底力

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