同じ仕事をしているのに、同業他社と賃金が違うのは「おかしい」
スウェーデンで生まれたブルーカラー労働に対する考え方に「レーン=メイドナー・モデル」というのがあります。これは、同業種全体に広げたものの見方です。
つまり、利益を上げている会社の従業員賃金は高く、利益を上げていない会社の労働者賃金が低いのは「おかしい」という発想です。
なにがおかしいかと言えば、収益を上げている・上げていないというのは、経営者の能力の差によるもので、それを労働者賃金で埋め合わせするのは「おかしい」ということです。
日本では多く見られますが、会社を維持させるために労働者賃金を下げるという、労働者が安い賃金で働くことで企業を支えているという現実が「おかしい」というのです。
「同一労働同一賃金」の真の意味
日本では、従業員と会社は一心同体、家族のようなものだという考えが「美徳」とされているようですね。
海外の「同一労働同一賃金」では、従業員の転職は自由、1つの会社を辞めてもすぐに次の会社に移りやすい環境を整えるということが前提にある条件で、従業員が賃金を我慢してまで支えなければならない会社は潰れたほうが良いという考えが根底にあります。
例えば、業界平均額以下の給料支給の会社は、業界平均まで引き上げなければなりません。そうなると自然に会社は潰れます。
一方、利益を上げている会社は、従業員の給料を引き上げるのではなく、その分、設備投資などに回し事業を拡大し、賃金が低い会社をやめてきた労働者を広く受け入れさせるという考えが「同一労働同一賃金」なのです。
そうすることで業界全体が底上げされ、経済は発展するという考え方です。
ダメな企業は潰したほうがよいという考えが、「同一労働同一賃金」にはあるということです。
同一労働同一賃金の考えには、全国レベルの労働食い合いがあることが求められます。つまり、平均賃金は、その全国レベルの労働組合と業界団体が話し合って決めるもので、それ以下の賃金しか払えない企業は、市場から退場してもらうというものです。
そうなると、業種内での賃金格差はなくなります。
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