景気が良くなれば倒産は減るのか?
景気が良くなり売上が増える景気回復局面では、実は倒産件数は増える傾向にあります。
先ほど倒産メカニズムでも説明したとおり、倒産は業績悪化で起こるのではなく資金繰りが滞ることで起こります。景気回復局面で売上が伸びれば、その分、仕入れ額も増えます。その支払いができるのかどうかが問題になります。
キャッシュリッチの大企業は良いでしょうが、資金ギリギリの中小企業は、景気回復時の波に乗ることができなくなります。今の非常事態でめいいっぱい借り入れを行っているでしょうから、新たに仕入れのための資金繰りができなくなっていくのです。まさに中小企業の悲哀ですね。
中小企業の決算書の多くは、債務超過になっています。売上が落ち込んでいる中での借入額の増加です。このような財務諸表だと、銀行はお金を貸してはくれません。でも、今の状況で財務諸表の健全化は無理に等しいです。
景気回復時の売上上昇なのに運転資金枯渇という、決算書上では、まさにバブル時の「黒字倒産」に等しくなります。
銀行の融資は、今では信用保証協会付きとなっています。企業への貸付の保証は、信用協会が行うことになっています。2020年の6月が、信用保証協会貸付のピークになっています。それは、信用保証協会の有事の融資条件緩和があったからで、その緩和が昨年秋頃から通常に戻っている。つまり、信用保証協会の審査が通らない企業が増えているのです。
景気が回復しても中小企業は追加融資を受けられない、そのことによる倒産件数増加…。それが今年2021年に起こってくるのです。
息切れ倒産……先行き不透明感から経営者の心が折れる倒産
資金繰り倒産……景気が回復しているのに追加融資が受けられない倒産
実は上場企業大手においても、資金繰りには苦しんでいるところがあるようです。2021年は、企業倒産に関わる2つのキ-ワード「息切れ倒産」「資金繰り倒産」が問題となりそうです。
<初月無料購読ですぐ読める! 1月配信済みバックナンバー>
※2021年1月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。
- 中小企業の危機はこれから…。コロナ息切れ倒産(1/18)
- 問われる資本主義、危ぶまれる民主主義(1/11)
- 新年あけましておめでとうございます(1/4)
※本記事は、らぽーる・マガジン 2021年1月18日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>
※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込330円)。
- 今年一年、ありがとうございます(12/28)
- 夫婦別姓を考える~今の政権では実現不可能(12/21)
- 香港の市民運動を考える~香港国家安全維持法(12/14)
- 老朽化した原子力施設にお金を供給するための『容量市場』(12/7)
- 2050年カーボンニュートラル ガソリン車が消えてなくなる?(11/30)
- 2050年カーボンニュートラル 日本の原子力政策事情(11/23)
- 日本が売られる Sell Japan …。。!!(11/16)
- 米大統領選挙の本当の勝者は“中国”?パート2(11/9)
- 膨張する日本銀行、そこから見えてくるものって実は…。。(11/2)
『らぽーる・マガジン』(2021年1月18日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中
らぽーる・マガジン
[月額330円(税込) 毎週月曜日]
絶対に知るべき重要な情報なのに、テレビなどが取り上げないことで広く知らされていないニュースを掘り起こし、また、報道されてはいるけどその本質がきちんと伝わっていない情報も検証していきます。情報誌は二部構成、一部はマーケット情報、マーケットの裏側で何が動いているのかを検証。二部では、政治や時事問題、いま足元で何が起こっているのかを掘り下げていきます。“脱”情報弱者を求める人、今よりさらに情報リテラシーを高めたい人はぜひお読みください。CFP®資格の投資ジャーナリストが、毎週月曜日にお届けします。