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五輪予算7000億円が4兆円に膨張、国民負担は大災害級に。誘致時の「税金は使わない」はどこへ?=原彰宏

「夏季大会の過去最高額を更新」英オックスフォード大学の調査

東京オリンピックの費用は今後さらに高くなる見込みだが、すでに夏季大会の過去最高額を更新していると、イギリスのオックスフォード大学が実施した広域調査が指摘しました。

海外からも、またまた「東京五輪は過去最高額」という報道です。

オックスフォード大学の研究に、五輪開催費用に関して予算額から実際の乖離を「予算超過額」として調べたものがあります。

例えば、1兆円の予算で、実際には1兆5,000億円かかった場合は、超過率は50%となります。基準となる「予算」というのは、五輪誘致に名乗りを上げた時点での見積コストになります。

過去、最も大きい超過率は、1976年開催のモントリオールでの夏季大会で「720%」だそうです。すごいですね。この返済に30年もの年月が、かかったそうです。

経済への影響では、ギリシャのアテネ大会(2004年)が、その後のギリシャ危機を招いた原因だと言われています。五輪開催が財政破綻をを招いた例になります。

オックスフォード大学の研究チームは、五輪開催国の負担する費用は地震や感染症の流行のような「重大災害」に匹敵すると表現しています。学術雑誌に掲載されたタイトルが「極端への後退 五輪が破綻する理由(Regression to the Tail: Why the Olympics Blow Up)」というのが、どうも笑えないですね。
※参考:Regression to the tail: Why the Olympics blow up – Bent Flyvbjerg, Alexander Budzier, Daniel Lunn, 2021(2020年9月15日配信)

1960年以降の五輪すべての予算オーバーを調査していて、当初予算の超過率平均は「172%」と、まあ必ずオーバーするものではありますけどね。

これまでの最も“高い”五輪は、夏季大会ではロンドン(2012年)の150億ドル(約1兆5,880億円)、冬季ではソチ(2014年)の219億ドル(約2兆3,180億円)でした。ソチ冬季五輪は、ロシアの威信をかけていましたからね。

でも、東京五輪はこれらを圧倒的に上回っていますからね。このままいけば4兆円になると言われてます。堂々の最高額です。

とにかく発注額が業者の言いなり、人件費の見積もりはありえない高額ばかりと、内部告発で次々と内情が明るみに出てきています。

なぜ国会では取り上げないのでしょうか。

東京五輪当初予算約7,000億円、直近の会計検査院報告3兆円で計算すると、東京五輪予算超過率は428%、4兆円で計算すると571%になります。

「スポーツですべてを洗い流す」は許されない。五輪後は費用の“清算”を

大会終了後の「五輪費用“清算”」は、きっとブラックボックスに包まれて、私たちの目に触れることはないのかもしれません。

マスコミも、「東京五輪メダルラッシュの奇跡」「感動をもう一度」というダイジェスト番組で視聴率を稼ぐでしょうから、こういった地味な検証は報道しないのではないでしょうか。

最近、スポーツウォッシング…なんて言葉を初めて聞きました。「スポーツですべてを洗い流す」「感動ですべてをなかったことにする」なんて、絶対に許されないことです。

五輪スポンサーである大手新聞やマスコミよりも、気概のある雑誌社が、東京五輪の闇を暴いてくれることを期待したいです。

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