日本人は生産性が低かった
公益財団法人日本生産性本部は12月23日、「労働生産性の国際比較2020」を公表しました。
「労働生産性の国際比較2020」では、2019年の日本の労働生産性(時間あたりおよび1人あたり)の国際的に見た位置づけや2018年の製造業における分析と併せて、コロナ禍を受けた2020年4~6月期の動向についても考察しています。
労働生産性とは、土地や設備に原料、そして人的コストに投じた資金に対して、どれだけのものが生まれて売上がたったかという割合のことです。労働人数あたり、もしくは労働時間あたりの成果ですね。
企業などが従業員に対して行う施策は、この「労働生産性」を指すものが多いです。
労働生産性の上昇により労働者1人が生み出す付加価値が増加すれば、労働分配率を一定とした場合、その付加価値の増加分の一部は賃金に分配されるため、労働生産性の上昇とともに、実質賃金は上昇することになるということです。
つまり、日本企業の労働生産性が上がることで、労働者賃金は上がるということになります。
日本の時間あたり労働生産性は「47.9ドル」で、OECD加盟37カ国中21位だということです。これは極めて「低い地位」と言わざるを得ません。
47.9ドルは「1ドル110円」で換算するとと、「5,269円」になります。米国(77.0ドル/8,470円)の約6割の水準になります。
名目ベースでは前年から5.7%上昇したものの、主要先進7カ国でみると、データが取得可能な1970年以降、最下位の状況が続いています。
就業者1人あたり労働生産性は81,183ドル(893万円)です。
韓国やニュージーランドよりも低い日本の労働生産性
これは、韓国(24位・82,252ドル/905万円)やニュージーランド(25位・82,033ドル/902万円)とほぼ同水準で、名目ベースでは前年を3.4%上回ったものの、順位でみるとOECD加盟37カ国中26位と、1970年以降最も低くなっているのです。
韓国やニュージーランドよりも“下”ということです。
製造業だけで見てみますと、日本の製造業の労働生産性は、98,795ドル(1,087万円)で、日本の水準は、米国のおおむね3分の2にあたる。ドイツ(100,476ドル)や韓国(100,066ドル)をやや下回るものの、英国(97,373ドル)を若干上回る水準となっています。
日本の生産性水準は2年連続で上昇していますが、順位でみると、OECDに加盟し計測に必要なデータを利用できる主要31カ国の中で16位にとどまっています。
つまり、日本の賃金が上がらないのは、日本企業の労働生産性が上がらないからだということになります。
1人の労働者が生み出す財が伸びていない、実に「非効率な状態」であるということです。