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なぜ日本人の賃金は上がらないのか?本当に低かった生産性、「手取り13万」がトレンド入りする現実=原彰宏

日本はもう「貧しい国」

人口減少が進む日本において、生産性向上は喫緊の課題です。人口が減っているのに労働生産性が上がらないということは、経済発展においては「致命的」と言えますね。

日本は経済規模ではGDP世界第3位を誇りますが、1人あたりGDPは4万89ドルと世界24位(2021年IMF調べ)です。つまり、1人あたりの経済指標を見ると、日本は今では世界のトップレベルでも何でもない「凡庸な先進国」というレベルです。しかも、現在進行形で、どんどん他の国に抜かされている状況なのです。

「GDP」はその国の豊かさの指標。もう日本は「豊かな国」ではなくなっていっているということになります。

「平均賃金」「1人あたりGDP(豊かさ)」「労働生産性」から考えて、日本はここ30年で“貧しい”国になってしまったのです。

少なくとも“豊かな国”ではないということが明らかになってきました。

「労働生産性が低い」ということは、日本は1時間あたりに稼ぐ付加価値が低い国であるということになり、それゆえ、世界に比べて賃金が安い労働者であるということが言えます。

このこととは関係なく、「働き方改革」の名のもとに、日本の労働者の労働時間は減っていっています。

「物的労働生産性」と「付加価値労働生産性」

さて、賃金にかかわる「労働生産性」を、もう一度考えてみましょう。

労働生産性は、「物的労働生産性」と「付加価値労働生産性」に分かれます。労働生産性を定量的に表すことで、現状の生産性を知ることが可能です。

「物的労働生産性」とは、作物や製品の個数や重量を成果物として考えるもので、労働者1人あたりの労働生産性を計算する場合は、「生産量 ÷ 労働者数」という式を用います。

労働生産性と言えば、この数式が一般的に用いられるようで、ようは「1万個の製品を作るのに労働者100人を要するとしたら、労働者1人あたりの生産性は100個分」となります。

労働者50人で1万個の製品を作ることができれば、生産性は上がりますね。

「付加価値労働生産性」とは、製品を作るのに掛けたコストに対しての利益、例えばコスト100円で売価200円なら、利益100円が「付加価値」となります。

労働者1人あたりの生産性は、この利益総額を関わった労働者数で割ればよく、時間あたりの生産性となれば、分子は利益総額ですが、分母は「労働者数 × 製造にかかった時間」となります。

労働生産性を上げれば、賃金は上がる

政府内閣府の「年次経済報告書」には、労働生産性と賃金の関係を説明したレポートがあります。

それによると、「労働生産性の上昇により労働者1人が生み出す付加価値が増加すれば、労働分配率を一定とした場合、その付加価値の増加分の一部は賃金に分配されるため、労働生産性の上昇とともに、実質賃金は上昇することになります」とあり、労働生産性と実質賃金の伸び率には比例的な関係にあると説明しています。

これまでに述べている通り、賃金上昇には、労働生産性向上が必要であることが伺えます。

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