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ジョブ型雇用を恐れる中高年が見逃している日本型雇用の悪習。「社員は家族」が低賃金の温床に=原彰宏

仕事の質を変える人が評価される「ジョブ型」

「ジョブ型」は、いままでの従業員の時間管理のシステムから、成果物評価に変える働き方のことです。仕事の「量」ではなく「質」が問われるようになります。

成果物評価には透明性が求められ、客観性が要求されます。成果物を評価するうえで、年齢や性別は一切関係ありません。資格の有無や学歴も関係ありません(のはずです)。

アイデアを生み出す知識や経験は必要でしょうから、それが必ずしも年齢や学歴にリンクすることははないですが、「メンバーシップ型」と呼ばれる集団が大事な価値観から、「個人の能力・個性」が求められてくる働き方となるなかでは、知識や経験の重要性は増してくると思われます。

それゆえ、仕事の質を向上する努力をした人と、そうでない人の“違い”は明確になります。自ずと「ジョブ型」では、賃金格差は大きく広がることになるでしょう。

成果物査定により、人の感情による定性評価が排除できて、しかも査定結果も民主的であることが「理想」の形なのですが、果たして現実はどうなるのでしょうね。

経営者・労働者ともに意識を変えることが必要

「ジョブ型」は、人間関係を大事にしてきた日本企業の風土では、なかなか馴染めない評価制度になるでしょうから、一気に変わることには抵抗を覚える人も少なからずいることでしょう。

余談ですが「社員は家族」という企業風土は、一見すると社員に優しいイメージを持ちますが、裏を返せば「家族なんだから我慢しなさい」「家族なんだから会社に無償で尽くせ」という思いが込められているのです。

「社員は家族」ではなく「社員は会社との契約の上にある」ものです。だからこそ、成果物査定には、透明性と客観性が求められます。

評価は民主的でなければなりません。それゆえ「ジョブ型」導入には、査定する経営者側の意識を変えることが重要になってきます。

さらに、労働者側の意識も大きく変わらなければ、成立しないということにもなります。

労働者の中には「能力主義で淘汰される」とか「欧米式評価でドライに切り捨てられる」といった印象を持っているようです。

「成果物の評価」という表現が、プロセスよりも結果重視というイメージを、強く感じているのでしょう。

労働者側の自己肯定感、自信の有無も問われることでしょう。

Next: 変化は怖い?「メンバーシップ型」と「ジョブ型」の大きな違いとは

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