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ジョブ型雇用を恐れる中高年が見逃している日本型雇用の悪習。「社員は家族」が低賃金の温床に=原彰宏

低賃金の元凶?メンバーシップ型を守ってきた労働組合

日本と海外で「労働組合」の在り方が違うという点も、日本が今まで「メンバーシップ型」労働が受け入れやすかったという見方があります。

海外では「業界ごと」に労働組合が存在するのに対し、日本では「会社ごと」に労働組合が存在します。

そういう意味では、会社ごとの労働組合は自社の従業員は守ってきたということで、そこには帰属意識を共有できる「メンバーシップ型」が受け入れられたのでしょう。

個人的見解ですが、労働組合の存在が、日本の雇用の流動性をなくし、従業員の地位保全と引き換えに賃金が上がらない状況を受け入れているように思えてならないのです。

いずれにしても、業務のあり方、グローバル人材の確保、給与を上げる観点からも「ジョブ型」労働は、今後も検討されていくことが予想されます。

スペシャリストを作るジョブ型

「ジョブ型」はスペシャリストを育てるには適していて、いままでの日本の会社に求められてきた「ジェネラリスト」は育ちにくいとも言われています。

でも、果たしてAIが進化し、DX(デジタルトランスフォーメーション)が進むなかで、どういうジェネラリストが求められるのかを考え直したほうが良いと思います。

それは従来型の「ジェネラリスト」ではないはずです。

アメリカではすでに、「ジョブ型」から「タスク型」労働の動きへと進んでいます。タスク・案件ごとにチームを作り、違う分野のスペシャリストを集めてプロジェクトを遂行していく働き方です。

日本でもプログラミングの世界ではすでに行われていて、「クラウドソーシング」により、ネット上で呼びかけてスペシャリストを集めることができます。

より専門性の高い分野の仕事がこれに該当するでしょう。企業においても、プロジェクトごとにチームを編成する例はいくらでもあります。

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