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中国に限らず海外メディアは「汚染水」と報道。米紙も「処理済み汚染水」と書く現実に日本政府はどう対応するのか?=原彰宏

現地の人の言葉「理解はするが、納得はできない」から読み取れるもの

世の中、言葉や表現にこだわるようなので、ここでも「理解」と「納得」の違いにこだわってみたいと思います。

「理解」は、自分の意思とは関係なく、物事の筋道を正しくとらえること
「納得」は、自分の意思を踏まえた上で相手の考えや行動を受け入れること

もうこれで、世の中に起きている「科学的事実に基づいた行動を否定するのか」という人たちにも反論できそうですね。

前提として、科学的に、ALPS処理水は安全であることは認めます。おそらく“飲める”レベルまで安全だと思います。ここで「安全」と「安心」という表現が頭に浮かびましたが、これ以上深掘りすると事の本質がややこしくなるので、これ以上の深掘りは、やめておきます。

さて「理解」と「納得」の話に戻しましょう。

納得の上に「理解」があるのか。
それとも、理解の上に「納得」があるのか。

この問いにどう答えられますか…。ある問いに対して「解(答え)」が提示されたとして、「へぇ~そうなんだ」という段階が「納得」であり、その上で「解(答え)」を知ったうえで自分なりにそれが正しいかどうかを考え抜いて「理解」にたどり着きます。

今度は、ある問いに対して議論が起こり、相手の意見を言い分をいったんは受け入れようとする姿勢が「理解」に相当しませんか。そのうえで相手の言い分が自分の意見とは異なっていても、自分なりに妥協点を見出して「それぐらいなら受け入れることもありかも」という状況が、「納得」ではないでしょうか。

「納得」に至るまでは、十分な時間が必要で、それこそ、とことん話し合いがなされて得られる話のような気がします。

前者の例は、自分ひとりで解決させる感情であり、後者の場合は相手がいることになりますね。そして議論の元になる「問い(納得の上に理解があるのか、理解の上に納得があるのか)」に対する「解(答え)」が、話し合っていくうちに「どっちもありなんじゃないか?」となることはないでしょうか。

意見の違いが分からなくなり、同じように感じてしまうことはないですか。頭が混乱してしている状況ですね。考えすぎて余計に分からなくなっているかもしれません。

納得のうえに「理解」があるのか、理解のうえに「納得」があるのか…。

どっちが正しいのでしょうかね。理解する側はどう考えればよいのか、説得する側はどっちを大事にすべきなのでしょうか。

「理解」と「納得」に関しては、こんな見解もあります。

理解とは、物事が解っただけのこと。
納得とは、物事をわかりさらにその事に同意すること。

個人の意見が反映されるのが「納得」。
個人の意見を抜きにしているのが「理解」。

いま国がしていることは、国民の、いや地元福島県民の意見を反映していることになるのでしょうか。

政府は「丁寧に」対応しているのか?

地元の人たちの感情は抜きにして、「科学的安全」の旗のもとに、「科学的証拠(エビデンス)」をもとに無理やり理解させ、個人的感情は度外視して納得させているようにも見えるのですがね。

対応に「丁寧さ」が足りない。そこをうまくやれば、科学的根拠の元、粛々と手続きは進むのではないでしょうか。

まるで「ボタンの掛け違い」で大揉めに揉めた、千葉県の成田空港誘致の問題みたいですね。

ところで、そもそも海洋放出が、現状を改善する唯一の方法なのでしょうか。他に本当に良い方法はないのでしょうか。

いまタンクにある水分だけを蒸発させて、残った固形物を地中深く埋めるとか日本海溝に沈めるとか、あるいはチェルノブイリみたいに石棺に閉じ込めるとかは考えられないのですかね。

どうせ最終処分処理場を作らなければいけないのですから。まだまだ知恵を出し合う余地はあるような気がするのですがね…。

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