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性別変更に“手術必要”は「違憲」最高裁判決もトランスジェンダーの苦悩が続く理由。外観要件はいつ消えるのか=原彰宏

外観と戸籍の性別を合わせる必要はある?裁判官の判断は…

15人の裁判官のうち、3人は「外観要件」も「違憲」とし、性別変更を認めるべきだとの反対意見を付けています。

「外観要件」も違憲で、差し戻さずに申立人の性別変更を認めるべきだ……最高裁は2019年に
「生殖不能」要件を「合憲」としましたが、この判例は変更されました。

3人は、高等裁判所で審理を尽くすべきだとされた「体の外観」に関する要件について、目的や不利益などを詳しく検討しました。

以下、「外観要件」も違憲と主張したそれぞれの裁判官の言い分をNHK記事から抜粋します。
※参考:性同一性障害特例法の規定は違憲 手術無しでの性別変更めぐり 最高裁 – NHK(2023年10月25日配信)

検察官出身で2019年の別の人の申し立てでも審理を担当した三浦守裁判官は、「要件を満たすには外性器を取り除く手術やホルモン療法を受けることが必要だ。手術は体を傷つけ、ホルモン療法も相当な危険や負担を伴う」と指摘し、この要件も憲法違反で無効であり当事者の性別の変更を認めるべきだとしました。

また、この要件が設けられた目的として「体の外観が法的な性別と異なると公衆浴場で問題が生じるなどの可能性を考慮したものだが、風紀の維持は事業者によって保たれており、要件がなかったとしても混乱が生じることは極めてまれだと考えられる」と述べました。

学者出身の宇賀克也裁判官も「男性から女性への性別変更を求める人の場合には通常、手術が必要になり、意思に反して体を傷つけられる程度が大きくホルモン療法も重い副作用の危険がある」として外観に関する要件も憲法に違反すると述べました。

弁護士出身の草野耕一裁判官は外観に関する要件について「意思に反して異性の性器を見せられて羞恥心や恐怖心などを抱かされることがない利益を保護することが目的だ」と述べました。

その上で、「この規定を憲法違反だとする社会の方が、合憲とする社会よりも善い社会といえる」と述べ、この要件も憲法に違反するとしました。

弁護士出身の岡正晶裁判官は審理をやり直すよう命じた決定を補足する意見を述べました。

この中では「今後、国会が生殖能力をなくすための手術の要件を削除すると考えられる」とした上で、「より制限的ではない新たな要件を設けることや、削除によって生じる影響を考え、性別変更を求める人に対する社会一般の受け止め方との調整を図りながら特例法のそのほかの要件も含めた法改正を行うことは可能だ」と述べました。

彼ら裁判官は、総選挙のときに一緒に行う、あの「◯」「×」をつけて選ばれる人たちですよ。

Next: 近く法改正か。今後は手術なしでの性別変更も認められていく

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