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2018年「カネ余り」の終わりの幕開け。それでも日経平均は4万円を目指す=矢口新

リスク2:EUからの独立運動

ユーロ圏には構造的な問題がある。通貨・金融政策を統一しながら、財政勘定を個別のままにしていることだ。財政の統一は、ユーロ誕生前から不可欠なものとされながら、18年目に入ろうとする現在でも実現化されていない。2017年12月には、その必要性が再確認されたものの、具体案は何もない状態だ。

財政が別で何が悪いか? 例えば、2011年3月に大震災が起きた後、日本政府は復興予算を組み、財政支援を行った。その金額が妥当だったかどうかはさておき、困った所に多くの資金配分を行うことに異論を挟む人はほとんどいない。

ところがユーロ圏では、理由がどうであれ、景気後退などで財政が悪化した国や地域は、懲罰的な緊縮財政を強いられ、年金の減額や公務員などの解雇が行われる。その結果、地域の格差がますます広がるのだ。人の生活に例えれば、怪我や病気で収入源・支出増となり家計が赤字になれば、懲罰的に支出減を強いられることになる。極端に言えば、交通費削減のために会社を辞めることさえ強いられるのだ。これでは立ち直られるものも、立ち直れない。

2017年10月に、カタルーニャ州ではスペインからの独立をめぐって住民投票が行われ、住民は独立を支持した。一方、スペイン政府はそうした投票自体がスペイン憲法に違反するとして、カタルーニャ地方議会を解散、12月に総選挙を行った。ところが、選挙でも独立派が勝利した。

欧州におけるこうした独立運動は、反政府的な大衆迎合主義と呼ばれている。しかし、ユーロ圏の政治や経済を、ほんの10年程振り返るだけで、そんなに単純なものではないことが分かる。

ユーロ圏諸国は2010年から相次いで、欧州債務危機を経験する。景気悪化で財政も悪化した諸国は、経済政策のセオリー通り、景気刺激策を取り、一時的に財政赤字がさらに拡大した。

EU政府はこれを問題視した。経済危機はECBの通貨・金融政策による引き締めが原因でもあったのだが、結果として、ユーロ圏のドイツを除く主要国ではこの時期に、すべての首長が自国民寄りからEU政府寄りに交代した。スペイン政府のラホイ現首相も、この時期に首相になった人物だ。

ラホイ首相には、汚職などの報道もある。経済の強いカタルーニャ政府が、そういったマドリード政府を支え、犠牲を強いられながら自治を奪われて言いなりになることを避けたいことが、果たして大衆迎合なのだろうか?

EUが統一国家になるためには、財政資金の統一が不可欠だ。ところが、格差が拡大してしまった今となっては、豊かな国は貧しい国と財布を共有したくないのは道理だ。私はユーロ圏の崩壊は、時間の問題でしかないと見ている。

もっとも、EUを含めた現政権は既得権のために強権を振るって「独立運動」を押え込んでいる。2018年にいきなり危機になる可能性は低いと思われる。

【関連】「シェアハウス」に例えて理解するフランス大統領選とEU、本当のポイント=矢口新

【関連】イギリス国民を「EU離脱」に追い込んだ、欧州連合とECBの自業自得=矢口新

詳しくは上記のコラムも参照して頂きたい。

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