リスク9:米国内の貧富格差の拡大
国連の極貧と人権についての特使、フィリップ・アルストン教授は、12月8日の報告書で、トランプ政権の政策を批判した。「不平等と極貧に関して、米国の政治は、劇的に拡大方向へと変化した」。同氏は、同政権が現在推し進めている税制改革に言及し、「福祉事業の劇的削減だ」と非難した。
※参考:UN special envoy chastises Trump’s America for ‘inequality and extreme poverty’
貧富格差の拡大は、実は、トランプ政権によって始められたものではない。1980年代の後半以降、米国を支えていた中間層が貧困層へと没落し、ごく少数の超富裕層への富の集中が続いている。
これは日本も同様で、富裕層と貧困層に同率の税をかける消費税が続くだけで、わずかな差でも時間と共に拡大し続ける。日米の最近の税制改革のように、福祉を削り、勤労者への課税を増やし、法人税率を下げれば、格差はさらに大きく広がる。
トランプ大統領は、そうした中間層の危機感を背景に当選したが、その政策は中間層に背を向けたもので、社会不安にまで繋がっている。
そうしたことで、近年の世界経済フォーラムでは、毎年のように格差問題が取り上げられているが、それでも「カネ余り」が、社会全体の資金不足を防いできた。
しかし、米国は2015年12月からの利上げに続いて、2017年10月からは資金の吸い上げも開始した。