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アメリカの老舗「シアーズ」倒産は、ダイエーと同じ理由? 日本企業が向かうべき道とは=吉田繁治

商品価値が高ければ売れる

売上を決める要因は、他店や競合店との比較での、商品価値の高さです(これが、比較商品価値)。買って使う(あるは食べる)顧客にとっての商品価値は、「機能+品質」を価格で割ったものです。コストパフォーマンスとも言われるものです。

この商品価値が、競合他店より劣れば、売れない。商品価値が高ければ、顧客数は増えて売れます。

3万円で満足できる品質のホテル、1万円で満足のできる品質のホテルがある。こうした一定の価格内で、より高く機能・品質の満足を与えなければ、売上と顧客数は増えません。顧客管理、ハイ&ローの価格割引の販売促進、ポイントだけではダメなのです。

セブンイレブンが成功しているワケ

セブンイレブンには、顧客管理、ハイ&ローの価格割引の販売促進、ポイントはない。セブンは、新商品での比較商品価値の高さを事業の生命線としています。「セブンのPB品質÷価格」の、比較上での高さです。

セブンの価格は高いと言われますが、コンビニエンス(顧客にとっての買い物の便利さ:ショートタイムショッピング)の価値が、品質価値に加わっています(店舗に行くのに5分:買い物5分:帰りも5分)。

このショータイムショッピングの価値を割り引いた価格で、比較しなければならない。パートで働けば、1時間が1,000円の価値だからです。働く人の時間は、所得の資源です。

短時間で買い物が終わるショートタイム。・ショッピングの価値は、食品スーパーにも行って、価格を比較する女性より、男性が評価します。このためコンビニでは、ロングタイム・ショッピングになる食品スーパーと逆に、男性客が多くなっています(ロングタイム・ショッピング:15分:15分:15分、百貨店は1時間:1時間:1時間)。

生産年齢人口がまだ増えていて、専業主婦も多かった1990年代の半ばまでは、セブンイレブンは女性客の多さを失敗と考えてもいたのです(今は違います。女性の有職も70%だからです)。

女性は、DNA的にロングタイム・ショッピングを苦にしない人が多い。フロアの一円をめぐるデパートでの買い物時間の長さに、そうとは言わずとも、辟易としている人は、多いでしょうね。

なぜ買わない商品までを見て歩くのか。普通の男性には、理解ができない。衣料を買うとき。何着も試着して平気で買わない。これは理解できません。下着すら試着。サイズの問題がシビアなためでしょう。買われなかった下着は、その後、どうなるのか。

シアーズも1980年頃までは良かった

1980年頃までのシアーズの約90年は、ポピュラープライス帯のPB開発で、商品価値を高めたマーチャンダイジングの歴史でした。

1970年代までは、ベンチマークした商品価値(コストパフォーマンス)の高さが続き、世界1の消費市場で、シアーズは世界一の売上になっていたのです(※筆者注:ベンチマーク:レーダーチャートで要素を決めた商品の価値比較)。

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1980年代からは、経営管理において、商品価値の戦略が欠落した歴史だった

開発輸入の専門店チェーンの登場

商品価値を高める新商品のマーチャンダイジングの連続が必要

新商品の大量開発型のセブンイレブン:その理由と、われわれの食文化の背景

わが国の小売業のために

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ビジネス知識源プレミアム:1ヶ月ビジネス書5冊を超える情報価値をe-Mailで』(2018年10月24日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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