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KDDIと楽天の提携は通信網の共有だけじゃない!競合を出し抜く両社のメリット=シバタナオキ

11月1日にKDDIと楽天が3つの分野において事業提携することを発表しました。この提携について両社のメリットについて詳しく解説します。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)

※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2018年11月22日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:シバタ ナオキ
AppGrooves / SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。

KDDIと楽天の提携は「ソフトバンク包囲網」

いまホットな「決済」と「通信分野」における提携

KDDIと楽天が、今最もホットな2つの領域である「決済」と「通信分野」における提携を発表しました。

KDDIと楽天、決済、物流、通信分野における事業協争を推進(KDDI 2018年11月1日)

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今日の記事では、この提携の背景と今後の展開を簡単に考察していきたいと思います。今回の提携は結果としては「ソフトバンクグループ包囲網」になると言えるでしょう。

提携#1: 2つのポイントからみる「モバイル決済」

今ネット業界で最もホットな領域の一つは、モバイル決済と言っても過言ではないでしょう。

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モバイル決済を考える上で、2つ重要なポイントがあります。

1つ目は、「決済する側のユーザー獲得」です。

一方、KDDIも、発行枚数2,420万枚の「au WALLET」や「auかんたん決済」などのサービスを通じて決済領域の強化を進めており、2019年4月よりバーコードやQRコードを使った新たなスマホ決済サービス「au PAY」を開始いたします。

モバイル決済の分野でKDDIと他社を比較すると、QRコード決済という点においてはこれまで目立った動きがなかったようにも感じますが、すでに2,420万枚の決済カードを発行している超巨大なユーザー層を抱える会社でもあります。

KDDIの強みはこの2,420万人の決済ユーザーを抱えている点ですが、一方で2つ目のポイントである店舗側の獲得においては、ドコモやソフトバンクグループといった他のキャリアと比べると遅れている印象がありました。

楽天は今後、「楽天ペイ(アプリ決済)」をはじめとした決済プラットフォームや加盟店網をKDDIへ提供します。これにより、KDDIは、楽天グループが直接契約している全国約120万箇所の加盟店等を活かしたスマホ決済サービス「au PAY」を2019年4月より順次開始します。

今回の楽天との提携によって、楽天が契約済みの120万の加盟店においてKDDIの決済サービスが利用できるようになります。KDDIとしては、QRコード決済分野における遅れを一気に取り戻すことができる可能性が見えてきたことになります。

一方で楽天の視点から見ると、2,400万人を超える巨大なユーザーを抱えるKDDIがどこか他のライバル企業と提携されてしまうよりは、自社と提携してくれた方が嬉しかったということはもちろんあると思いますし、仮に他社と提携しなくても、KDDIが独自で店舗開拓を始めると強力な競合が一つ増えるということになります。

すでにソフトバンク・ヤフー連合やLINEなどが大きく投資を始めている決済分野ですので、これ以上強力な競合を増やすことなく、手を組むことで不毛な競争を減らすという意味があったのではないでしょうか。

Next: 通信インフラの提携は、2社にとってどんなメリットがあるのか

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