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KDDIと楽天の提携は通信網の共有だけじゃない!競合を出し抜く両社のメリット=シバタナオキ

提携#3: これからが楽しみな「物流」

三つ目の提携ポイントは「物流」に関してです。

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楽天は、KDDIが運営する総合ショッピングモール「Wowma!(ワウマ)」に対して、楽天の物流サービスを2019年4月より順次提供します。

楽天は「ワンデリバリー」と言う包括的な物流サービスを提供する旨を発表していますが、それらのサービスをKDDIが運営するショッピングモールに対しても提供していくという内容です。

この物流に関する提携に関しては、まだ楽天のワンデリバリー構想が具体的にどうなっているのかよく分からないため様子を見る必要があると思います。楽天としては、自社の物流インフラを利用する店舗が増えれば増えるほど便利なサービスになることは間違いありませんし、KDDIから見ても楽天の物流網に乗れるのであればメリットがありそうにも見えます。

個人的な所感:ソフトバンクグループに対する包囲網

冒頭にも書いた通り、今回の提携は一言で言えば「ソフトバンクグループ包囲網」と言えるのではないでしょうか。

お互い既に持っているアセットを貸し出すだけの提携になっており、万が一提携がうまくいかなくてもあまり大きなダメージはお互いにないと言えるでしょう。

決済分野での提携に関しては、ソフトバンクやLINEなどを含めて、各プレイヤーが当面の間はオープン化せずに店舗とユーザーを独自に囲い込む、囲い込み合戦になりつつあります。

また、この分野は手数料を無料にする、さらにはポイントバックでのインセンティブを強化するなど、非常に長期的に投資が必要な分野になりつつあります。

KDDIのauユーザーが楽天ペイの端末で決済できるようになるという提携内容は、お互いにとって不毛なマーケティング投資を削減できるという意味において非常に意義があるものだと言えるでしょう。

上手くいかない部分があってもデメリットの少なさが魅力

通信分野に関しては、楽天の新規参入によって既存の三大キャリアのマーケットシェアが落ちていくことは明らかであり、さらに政府からの値下げ要請もくるという非常に過酷な市場環境の中で、KDDIとしてはたとえ短期間であっても楽天を抱えておきたかったというのが本音ではないでしょうか。

KDDI単体としてはマーケットシェアが減っていくかもしれませんが、KDDI+楽天という2つのキャリアを足すと当面の間は市場シェアが増えていくことになりますので、KDDIとしてのインフラ投資を支えるだけの収益を稼ぐという点においては、意味がある提携だったと言えるでしょう。

一方で楽天としては、ドコモやソフトバンクからローミングを受けても良かったわけですが、ドコモとはこれまでの経緯から難しそうだなという印象がありましたし、ソフトバンクに関してはヤフーとの競合関係があるので、やはりKDDIが一番理想的なパートナーだったと言えるのではないでしょうか。

今回の提携は、仮にうまくいかない部分が多少あったとしても、通信と決済という今最もホットな2つの領域で少なくても短期的にはお互い握手をしたままの状態になりますので、お互いの競合相手とのアライアンスが起こりにくいというだけでも、非常にプラスなニュースだと言えるでしょう。

Next: 逆風の携帯キャリア業界、ソフトバンクやドコモの動向は?

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