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贈与税がかからないケースがあった?年間110万円を超えても大丈夫な条件とは=小櫃麻衣

扶養義務者の定義には、祖父母も含まれる

通常、祖父母が孫の授業料を負担することになると、孫の口座ではなく、両親の口座に振込み、そこから両親が授業料を支払うことになると思います。

これでは実質、祖父母から両親に対する贈与なのでは?と思うかもしれませんが、そんなことはありません。

ここで整理しておくと、年間110万円以上の贈与であっても非課税となるには、“夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者からの贈与”と定義されています。

扶養義務者の範囲を説明しておくと、民法第877条には、直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務があるとあります。

直系血族とは、世代が上下に直線的に連なる血縁者のことを指しますので、当然ながら祖父母も含まれます。

つまり、祖父母による教育資金の贈与であっても、年間110万円の縛りを気にすることなく、贈与が出来るというわけです。

しかし、祖父母が両親の口座に授業料50万円を振り込んだとすると、両親が貯蓄していたお金にプラスされることになるため、その50万円が本当に孫の授業料に使われているのか、分別がつかなくなってしまいますよね。

場合によっては、祖父母の相続時における税務調査で追及されてしまうかもしれません。

税務署はお金の動きに敏感に反応しますので、このように疑われないようにするためにも、祖父母が直接、授業料などの教育資金を支払い、しっかりと“孫の教育資金に使った証拠”を残しておくと良いでしょう。

一括贈与の場合は1,500万円までしか非課税に認められない

さて今回は、年間110万円以上の贈与であっても非課税で済む仕組みについて解説しましたが、このようにその都度行う贈与ではなく、一括でまとめて贈与をしたい場合には、教育資金の一括贈与を活用するなど、ご自身にあった選択を考える必要があります。

教育資金の一括贈与では1,500万円までは非課税となりますが、専用の口座を開設し、いちいち領収証を提出しなければならないといった手間もあります。

また、教育資金の一括贈与で最も気を付けなければならないことは、子供や孫は、1,500万円までしか贈与を受けられないということ。

つまり、母方の祖父母から孫に対して1,500万円の贈与を行ない、さらに父方の祖父母から1,500万円の贈与を行うことは出来ず、双方を合計して1,500万円までしか非課税として認められないのです。

孫に対して教育資金の一括贈与を行おうと思ったら、相手方がすでにこの制度を使っていたというケースも数多く見受けられますので、その点は注意しましょう。

政府は高齢者に対してお金を使ってもらおうと、様々な特例を新設していますが、表面的な情報のみしか把握していないと、後に思わぬ盲点に悩まされることになります。

後に後悔しないためにも、相続制度に詳しい専門家へ相談し、メリットとデメリットの双方を把握した上で、対策を講じるようにしましょう。

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FPが教える!相続知識配信メルマガ☆彡.。』(2019年1月11日・14日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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