金正恩に拉致問題を解決する気はあるのか?
さて、金委員長は2月末の米朝首脳再会談で、拉致問題に言及していたとされています。
金委員長は「日朝間の懸案として日本人拉致問題があるのは分かっている。いずれ安倍首相とも会う」とトランプ大統領に語ったといいます。トランプ大統領はこのやりとりを安倍首相に伝えたとされています。
米朝再会談時の金委員長の拉致問題への直接的な言及の存在が確認されたのは初めてです。ただし、金委員長が問題解決に意欲を持っているかどうかは明らかになっていないとされています。安倍首相は金委員長の真意を探ると同時に、日朝首脳会談の無条件開催に向けた調整を進める方針とされています。
これが、マスコミが伝えている報道です。あくまで表向きの話です。
マスコミが真の情報をつかんでいるとは思いませんが、国民は「そのような状態にあるのだろう」と考えているはずです。
一方、拉致被害者の家族はどうでしょうか。北朝鮮の拉致被害者である横田めぐみさんの弟拓也さんら家族会メンバーは、ワシントンでポッティンジャー米国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長と面会しました。ポッティンジャー氏は、2月に行われた米朝首脳会談で、トランプ大統領が繰り返し拉致問題を取り上げたことを伝え、解決に向けた協力を約束したとされています。
面会に同席した古屋拉致議連会長は、「2日間にわたった2月の首脳会談で、当初話題を変えようとした金委員長に対し、トランプ大統領はそういうわけにはいかないと繰り返し拉致問題に言及した」としています。
しかし、この問題は非常に複雑です。というのも、だれがどこまで真実を知っているかがわからないからです。それによって、話す内容が大きく変わってくるからです。
一部の拉致被害者は真実を知っているはずですが、その周りや米国サイドはどうでしょうか。トランプ大統領や政権の中枢部は知っていると思いますが、とにかくこの問題はタッチーです。
安倍首相はトランプ大統領と電話会談で、北朝鮮の日本人拉致問題に関し「あらゆるチャンスを逃さない。私自身が金正恩朝鮮労働党委員長と条件を付けずに向き合わなければならない」とし、前提条件なしに日朝首脳会談を模索していく考えを伝えました。
安倍首相はこれまで日朝首脳会談について「行う以上は拉致問題の解決に資する会談にしなければならない」と強調しています。
6カ国協議の参加国のうち、日本だけが北朝鮮と首脳会談を行っていない現状を踏まえて方針転換した形です。しかし、実現の見通しは立っていません。
とはいえ、これもあくまで表向きの話です。この話は、日本の外交の根幹にかかわる、きわめて重要な問題ですので、本当の話は絶対に出てこないでしょう。
それくらい、厳戒態勢で情報統制が行われているはずです。
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本記事は『江守哲の「ニュースの哲人」〜日本で報道されない本当の国際情勢と次のシナリオ』2019年5月10日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方はぜひこの機会に、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
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『江守哲の「ニュースの哲人」〜日本で報道されない本当の国際情勢と次のシナリオ』(2019年5月10日号)より一部抜粋
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